こんにちは。
米国株式投資による資産運用を考える方の中には、配当金によるインカムゲインを目的とした投資をしたい人も多いかと思います。一般的にインカムゲインを目的とした投資はキャピタルゲインを目的とした投資に比べてリスクが低く、長期的な保有を目的とした投資に向いているとえます。
米国株には高配当や連続増配を続けている銘柄が多数あり、長期保有を目的とした投資には最適だと言えます。個別銘柄への投資以外には、米国高配当ETFでも高配当銘柄への投資が可能です。
米国高配当ETFへの投資なら、簡単に分配投資もできるためさらに低いリスクでの投資ができます。個別銘柄に投資した場合、その銘柄の株価が下がると、配当金以上の損失が出る場合があります。しかし高配当ETFの場合、万が一構成銘柄の一部の株価が下がったとしても、他の銘柄がその損失をカバーしてくれるのでリスクを最小限に抑えることができます。個別銘柄への投資に必要な、企業の財務諸表などの会計面を分析する必要もありません。初心者にとって企業の会計分析をすることはとてもハードルが高く、なかなか投資に踏み出せない理由の一つになってしまいます。その点ETFは保有がとても簡単なので、初心者でも始めやすい投資だと言えます。
ですが、高配当ETFにもさまざまな種類がありますので、どの商品が自分の投資に合っているかをしっかりと見比べる必要はあります。自分の大事なお金を投資するわけですから、「みんなが買っているから」とか「勧められたから」という理由で購入するのではなく、しっかりと自分で中身を確認してから購入しましょう。
今回は米国高配当ETFの中でも人気の3つの銘柄を比較してみたいと思います。
米国高配当ETF購入前の
チェックポイント
まず、米国高配当ETFを購入する前に以下の項目を確認してみてください。
1,配当利回り
これは、会社がその株価に対して毎年配当(ETFなどのファンドの場合「分配金」と言われます)で支払う金額を、パーセンテージで表したものです。配当金を目的とした投資をする場合とても大事な数字になります。しかし、ただ高ければいいというわけではありません。業績が悪化して株価が下落すると配当利回りが高くなります。なので、業績が悪化している企業が集まっていて、見かけだけ配当利回りが高いETFも存在します。しっかりと構成銘柄も確認する必要があります。
2,過去5年間の収益
高ければ高いほどいいと思います。直近1年の収益はコロナショックで下落しているETFがほとんどですが、長期保有することを考えれば下落する期間があるのは仕方ないと思います。
3,経費率
ETFを保有する限り毎日かかる費用なので、低ければ低いほどいいです。 米国ETFは0.08%未満のものが多いです。経費率は確実に収益を下げる費用ですので、いくら利回りが良くでも経費率が高すぎるETFはおすすめしません。
4,構成銘柄のサイズ、内容
ETFを構成する銘柄が小型、中型、大型株のどれなのかを確認する必要があります。 大型株で構成されたETFの方がより変動が少なく、リスクは低くなります。
そして何より大切なのはポートフォリオの内容です。経費率や配当利回りばかり気にして内容をしっかり確認しないと、将来の成長や安定がない銘柄に投資してしまう可能性があります。
5,ベンチマーク
ETFはそれぞれベンチマークという連動するインデックスがあります。さまざまなインデックスが存在するので、そもそも連動するインデックス自体が将来良いパフォーマンスをしなければ、投資をする価値がありません。どのインデックスをベンチマークにしているのかもしっかりと確認する必要があります。
おすすめの米国高配当ETFを3つご紹介しますので、参考にしてみてください。
バンガード米国高配当ETF(VYM)
米国の大企業を中心に426という銘柄数の多さが特徴です。それだけ分散投資ができているということなので、一つの銘柄に左右されるリスクが少なくなります。
ベンチマーク:FTSE高配当インデックス | |
設定日:11/10/2006 | |
配当利回り:3.53%(8/31/2020現在) | |
経費率:0.06% | |
サイズ・構成銘柄数:Large 426銘柄 |
ポートフォリオの内容

セクターごとの割合は「金融」、「ヘルスケア」、「生活必需品」の順に多く構成されています。一般的にヘルスケアや生活必需品セクターは不況にも強いのでリスクの少ない投資をしたい人にはおすすめです。

構成される比率が多い上位10銘柄です。
「ジョンソンエンドジョンソン」や「プロクター&ギャンブル」、「ベライゾン」などの連続増配を続けている銘柄が入っているので、安定した配当を期待できると思います。
パフォーマンス

直近の1年間はコロナショックの影響で収益率は下がっていますが、過去10年間で10%を超える高い収益率があります。
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(HDV)
HDVの最大の特徴は構成銘柄が頻繁に見直されるということです。株価が高くなって配当利回りが低下した銘柄は除外されます。なおかつ、業績が悪化しているなどの先行きのないと判断された企業の銘柄もポートフォリオから外されます。財務の健全性という素人では難しい判断を代わりにしてくれて、常に高配当で魅力的な銘柄で構成してくれるのですから人気が高いのも頷けます。
ベンチマーク:モーニングスター配当フォーカス指数 | |
設定日:3/29/2011 | |
配当利回り:4.05%(8/31/2020現在) | |
経費率:0.08% | |
サイズ・構成銘柄数:Large 75銘 |

ヘルスケアセクターへの比重が大きくなっています。続いて「エネルギー」、「通信」、「生活必需品」となっています。ディフェンシブセクターの企業銘柄を中心に構成されていることがわかります。

ビジネスに「wide moat(高い障壁)」を持っていると判断できる企業の銘柄のみで構成されているので、将来の安定性があります。構成銘柄は四半期に一度見直されます。
パフォーマンス

エネルギーセクターの比率が大きいので、コロナショックではエクソンモービルなどの銘柄の下落が全体の足を引っ張る形で下落したようです。直近一年はマイナスになっていますが、現在までで平均8.98%の収益率があります。
SPDRポートフォリオS&P500高配当ETF(SPYD)
S&P500のうち上位80銘柄の高配当銘柄で構成されたETF。
投資を始めたばかりの人は、おそらくS&P 500インデックスから配当株を選ぶ低コストのETFが一番リスクが少ないと思います。S&P500をベンチマークとした米国高配当ETFは、米国トップ企業の中から高配当の銘柄を選んでポートフォリオが組まれているからです。
ベンチマーク:S&P500高配当インデックス | |
設定日:10/22/2015 | |
配当利回り:5.94%(8/31/2020現在) | |
経費率:0.07% | |
サイズ・構成銘柄数:Large 80銘柄 |
パフォーマンス
下の表は年間平均収益の表です。

2015年に設定されたETFなので3年分までの平均しかありませんが、このようなパフォーマンスになっています。米国高配当ETFの中でもSPYDは特にコロナショックで下落が激しかったETFです。まだまだコロナショック以前の状態に戻るのには時間がかかりますがすでに回復しているので、これからのパフォーマンスにも期待できると思います。
ポートフォリオの内容
下のグラフはセクターごとの内訳です。「金融」「不動産」の比率が多いことがわります。続いて「エネルギー」、「公共事業」、「情報テクノロジー」と続いています。
なのでSPYDは「金融」、「不動産」に強いETFと言えます。このセクターに投資したい人におすすめです。


こちらは構成の多い銘柄トップ10です(8月28日現在)。それぞれの銘柄が1.25%になるように均等割り合いで投資されています。1月と7月の年2回リバランスされています。
以上が3つのおすすめ米国高配当ETFです。
同じ米国高配当ETFでも、それぞれ違った特徴を持っています。投資を始める上で一番大切なことは、自分が運用する期間とリスク許容度に適した投資をすることです。なので配当利回りだけではなく、経費率や分散投資についてもしっかりと検討する必要があります。ETFは魅力的な投資ですが、過去のパフォーマンスはあくまでも投資の際の目安であって、そのETFの将来のパフォーマンスを保証するものではありません。なのでこれから投資を始める人は、自分の許容度を超えない範囲で投資をすることを忘れずに、自分に合った投資方法をさがしてみてください。
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米国株式やETFについてはこちらのブログを参考にしてみてください。
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