こんにちは。
このブログを始めてから1か月以上が経ち、日本に住んでいるお友達から「投資に対する興味が湧いてきた」や「私もお金の勉強をしたい」と言ってもらえることが増えてきました。
なので今日は、日本から米国株や米国ETFの購入を考えている人に開設することがおすすめの「NISA(ニーサ:Nippon Individual Savings Account)口座」についてお話したいと思います。
NISA(ニーサ)ってどんな口座?
NISAは、少額からの投資を行うために2014年に始まった非課税制度です。
日本の個人金融資産は預貯金に過度に偏っています。もし日本がこの先デフレからインフレへと変化していくと、これは大きな問題になってきます。非課税制度を通じて一般の個人投資家にも投資への機会を広めて、それによって企業の成長もサポートするという目的から始まった制度です。
株や投資信託の取引をするためにには証券会社で「一般口座」か「特定口座」という口座を開設する必要があります。含み益などで利益が確定しない限りは課税対象とはなりませんが、配当金、売買収益で利益が確定した場合課税対象となります。
通常、株式やETFなどの投資信託で得た収益に対して20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。
しかしNISA口座を使用すると、この口座から購入した金融商品に対して非課税になります。つまり約20%の税金がかからなくなります。
投資をする際、20%の税金を節税できるのはかなり大きなメリットですよね!
しかしもちろん無制限に非課税になるわけではなく、金額や期間に特別なルールがあります。このルールをしっかりと理解しないで始めてしまうと、せっかく節税のために利用したNISA口座で無駄に税金を支払う可能性もありますので、最後までしっかりと読んでいただけたらうれしいです。
対象者:日本国内に住民票がある20歳以上の成人 | |
非課税対象:株式やETFなどの投資信託による配当金、売買収益 | |
投資可能金額:毎年120万円まで(総額600万円まで) | |
非課税期間:最大5年間 | |
投資が可能な期間:2023年まで(非課税になるのは2027年まで) |

こちらは「一般NISA」と言われているNISA口座で中期投資をしたい方におすすめです。
一人一口座と決まっていますが、住民票がある20歳以上の人であれば誰でも開設できます。一般NISAは2023年までの制度とされていますので、投資の購入を行うことができるのは2023年までです。
2023年中に購入した投資についても5年間(2027年まで)非課税で保有することができます。NISA口座について、もう少し詳しく見ていきましょう。
・投資可能金額の上限
非課税対象の投資額は、毎年120万円までと決まっています。
一年間で投資できる非課税対象の金額のことを「非課税投資枠」と言います。
非課税で保有できる投資総額は600万円までという上限もあります。
・非課税の期間は最大5年まで
非課税期間は5年間と決まっています。利益が出た金融商品を購入した年から5年間非課税になります。この期間の間、いつでも一般口座への移行や売却が可能です。
しかし「5年間」という期間は購入する月によって変わるので注意が必要です。もし2020年の12月に購入した場合、1か月で一年目が終了してしまいます。つまりこの場合非課税の対象になるのは2024年の12月までなので、実質4年と1か月ということになります。
非課税対象期間の5年間が過ぎたあとは以下の3つの選択肢があります。
1,翌年の非課税投資枠に移す(これをロールオーバーといいます)
2,課税口座(一般口座など)に移す
3,売却する
ロールオーバーは、NISA口座を利用する上で大事な仕組みです。
これは5年間の非課税対象期間が過ぎてしまった株式や投資信託を、翌年の非課税対象枠に移行させることができるというものです。
つまり非課税の期間を延長できるんです。投資によって増えた利益をまた投資に回せるという仕組みです。これを繰り返せば最大10年間非課税のまま運用が可能になります。
そしてロールオーバーが可能な金額には上限がありません。
保有している金融商品の時価が120万円を超過していても、全額を翌年に移行することが可能になります。
120万円以下をロールオーバーした場合、その差額が翌年に可能な投資額となります。例えばロールオーバーする金額が60万円だった場合、翌年新しく投資できる額は「120-60=60」で60万円までになります。


また、ロールオーバーする金額が120万を超えている場合、翌年に新規の投資はできないということになります。
現在のNISA口座の投資可能な期間は2023年までなので、ロールオーバーが可能なのは2019年までの購入になります。なので新規で開設する人はこれについては考える必要はありません。すでにNISA口座を持っている人は2019年までに購入した金融商品をロールオーバーすることも検討してみてください。自分で申請しない限り5年間の非課税期間が終わると自動的に一般口座に資産を移されてしまうので、ロールオーバーをしたい人はその前にしっかりと自分で申請を行いましょう。
2024年以降は「新NISA」が始まりますので、そちらはまた別のブログで紹介したいと思います。
「つみたてNISA」は何が違うの?
NISA口座にはもう一つ「つみたてNISA」というものがあります。
こちらは一般NISAとは少し内容が異なり、長期投資や分散投資をしたい方におすすめです。
対象者:日本国内に住民票がある20歳以上の成人(一般NISAとの兼用は不可) | |
非課税対象:特定の投資信託から得られる分配金、売買収益 | |
投資可能金額:毎年40万円まで(総額800万円まで) | |
非課税期間:20年間 | |
投資が可能な期間:2037年まで(非課税になるのは2056年まで) |

一般NISAとつみたてNISAの口座の兼用はできませんので、どちらか一つを選ぶ必要があります。
ですが、一般口座との兼用は可能です。なので一般口座とどちらかのNISA口座を開設することができます。
つみたてNISAは2037年までの制度とされていますので、投資信託の購入を行うことができるのは2037年までです。
2037年中に購入した投資信託についても20年間(2056年まで)非課税で保有することができます。
一般NISAとつみたてNISAの口座にはいくつかの違いがあります。
まず、つみたてNISAでは一般NISAのようにロールオーバーすることはできません。
また、つみたてNISAは一般NISAと違い、株式は投資対象に入りません。
対象となるのはETFなどを含む投資信託で、安定的な資産形成を目指す「長期運用、積み立て、分散投資」に適した商品のみという条件が設けられています。
信託報酬が低く、販売手数料が0円(ノーロード)の低コストの金融商品に限られているため、詐欺まがいの投資信託に投資するリスクを減らすことができます。
つまり金融庁がおすすめする投資信託が対象なので、初心者でも安心して投資できるというメリットがあります。
積み立てNISAの対象商品については金融庁のサイトで確認できます。つみたてNISAの対象商品
初心者には一般NISAよりも、つみたてNISAを利用して長期運用をする方がお勧めです。
NISA口座の注意点
・開設できるのは一つの口座のみ
一人一口座しか開設できません。
途中で金融機関の変更は可能ですが、変更する年の9月末までに変更手続きをしなくてはいけません。そしてすでにNISA口座で購入している場合、変更できるのは翌年の投資分からになってしまいます。
なので口座を開く際、金融機関を慎重に選びましょう。
ほとんどの人がSBI証券や楽天証券などのネット証券を利用していますが、これらについてはまた次回ブログで詳しくお話したいと思います。
・非課税投資枠に繰り越せない
もし120万円未満の投資をしたとしても、残金を翌年の投資額に繰り越すことはできません。つまり、今年の投資額が70万円だったとしても、来年の投資上限額が170万円になるわけではなく、来年の投資額も120万円までということになります。


また、投資している間はいつでも売却が可能ですが、売却してもその売却分の金額をその年の非課税投資枠に再度使う事はできません。


つまり上限の120万円を投資して、そのうち20万円を売却しても、その年にそれ以上株やETFをNISA口座から買い増すことはできません。
・損益通算ができない
現在保有している株式や投資信託をNISA口座に移行することはできません。
また、NISA口座で取引した損益を一般口座などの他の口座と損益通算することもできません。
つまり、一般口座で利益を40万円出したけどNISA口座で損失が40万円あった場合、損益通算して利益をゼロにして、一般口座の利益の40万円を非課税にするということはできません。

このため、非課税対象枠から一般口座に資産を移す際に保有資産が値下がりしている場合、損をする可能性があります。これがNISA口座の一番のデメリットで、注意しなければいけない点です。
例えばNISA口座で100万円投資したとします。5年間の非課税期間が終わり一般口座に移行したとき、株が値下がりして80万円になっていたとします。その後一般口座に移行したあとに株が100万円まで値上がりしたとします。この場合、購入当初の100万円ではなく、移行したときの80万円が購入価格として見られるので、「20万円の利益が出た」ということになり、この20万円に20%の税金がかかります。ですが、実際は100万円で購入しているわけですから利益は出ていません。利益が出ていないのに税金を支払う必要が出てきてしまいます。
この場合NISA口座を使わず、初めから一般口座で株を購入していた方がよかったということになってしまいます。このように、利益が出ていない、もしくは損失がでているのに課税される可能性があります。
なので、何に投資をするか、どのタイミングで売却、一般口座へ移行するかが重要になってきます。
NISA口座を利用して米国株式投資を始めよう
NISA口座はあくまでも投資を始める上で活用できる「口座」という「箱」であって、投資そのものではありません。大事なのはその「箱」の中身です。NISA口座を使って「何に」投資するかが重要です。
いくら非課税といっても、収益がでなければ非課税である意味はありません。
なので自分の運用期間で収益がでる金融商品に投資することが大切です。
NISAの開設をお勧めする理由は、「一般NISA」口座では外国株や海外ETFの購入も可能というところです。「つみたてNISA」でも海外のインデックスに連動した投資信託を購入できます。
やはりS&P500 インデックスに連動した投資信託への投資が長期投資では最適だと思います。
(投資先にお勧めな米国ETFについてはこちらのブログを参考にしてみてください。米国株式やETFについて、おすすめ銘柄やETF)
ただしすべての「一般NISA」口座で米国株の取引きができるわけではないので、口座を開設する前に確認してみてください。
オンライン証券で米国株の取引きが可能なのは、マネックス証券、SBI証券、楽天証券などがあります。米国株の取引きがあるネット証券でも、NISA口座がなければ非課税にはなりませんので、NISA口座を持っていて、なおかつ米国株の取引きを扱っている証券会社で口座を開設することがおすすめです。
しかし「一般NISA」口座を利用しても、米国株や米国ETFで発生する配当金、分配金に関しては米国現地で源泉徴収をされるということは知っておいてください。
通常米国株や米国ETFの配当に対する税金は、二重課税を調整するために、日本で確定申告をすれば一定範囲で米国で納付した分を控除できますが、NISA口座は確定申告の対象外なので残念ながら適応されません。
なので、米国への投資にNISA口座を利用する場合、配当金や分配金目的の投資ではなく売買収益を目的とした投資がおすすめです。
おすすめ米国ETFはこちらバンガードS&P500ETF(VOO)徹底解説
まとめ
ここまでいろいろとNISA口座についての説明を読んで「なんだか複雑でよくわからない!」と思ってしまった人もいるかと思いますが、NISA口座はとてもシンプルです。
NISA口座を使って購入した株などの金融商品で得た収益が非課税になる!
その代わりに投資額や投資期間、投資対象に制限がある!
ただこれだけです。(笑)
また、「つみたてNISA」の方が長期投資、分散投資もできるので初心者にお勧めです。
そして一番大切なことは、NISA口座を使って「何に」投資するかということです。私は米国のS&P500 インデックスに連動した投資信託への投資をおすすめします。
20%の税金が非課税になるというのはとても大きなメリットだと思います。
私としてはとても魅力的な制度だと思うので、投資に興味のある方は是非NISA口座の開設を検討してみてください。
投資や資産運用に関して何か質問があればコメント欄にお寄せください。
また、これからブログで取り上げてほしい内容などがあればそちらもコメント欄へ宜しくお願いします。
「NISA口座を使えば20%の税金が非課税になる」に16件のコメントがあります