今回は家庭で行う「お金の教育」についてお話したいと思います。
お金に対する正しい知識、理解、判断ができる能力を「金融リテラシー」といいますが、この金融リテラシーが高い人ほど将来成功するといわれています。
そして、お金についてきちんと話し合っている家庭の子供は、金融リテラシーが高いということが米国の調査でわかっています。
アメリカの富裕層が子供に教える「大切な10のお金の教育」
「お金の教育」は、子供の金融リテラシーを高めて子供の将来を豊にするために、絶対に必要な家庭での教育です。是非皆さんも家庭で取り組んでみてください。
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デジタルネイティブと言われる「ジェネレーションZ」が大人になり始めた今、紙幣で支払うという概念はなくなりつつあります。
しかしそこには便利さや今までになかったチャンスと同時に、様々なリスクもあります。
どんなにテクノロジーが進化しても、以下の3つが金融リテラシーが高い人の基本だと言われています。
1、自分の収入に見合った支出をする
2、まず自分自身への支払いを済ませる
(これについてはこちらのブログを参考に:バビロンの大富豪の7つの教え)
3、収入の10分の1を貯金する
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この必要性を理解し、実行に移すことが最も大切です。
そのために家庭でできる「お金の教育」を年齢別で紹介していきたいと思います。
3歳から6歳まで
お金の概念を教える
3歳から6歳ごろまでは認知発達が進む時期で、数の数え方の概念を理解し始める年齢です。この時期は一般的なお金の概念について教える絶好の時期です。
始めはクレジットなどの抽象的なことは後回しにして、物理的なお札や小銭について教えてあげましょう。
・貯金箱にお金を入れさせてみる
・お買い物の時に支払いをさせてみる
・小銭はそれぞれ価値が違うことを教える(例:10円玉が10枚で100円玉と同じ価値になるなど)
「お金を支払う」という行為をさせることで、子供たちに支出と予算の関係を教えることができます。
また、支出と予算の関係から、「節約」の必要性も印象付けることができます。
この年齢の子供たちに教える基本的なお金の概念は以下の4つです。
1、Earning 収益
2、Spending 支出
3、Saving 貯蓄
4、Giving 寄付
それぞれについてみていきましょう。
1、Earning 収益
もちろん3歳の子供が外で働くことはできませんので、家庭でのお仕事をさせてあげましょう。
ベットメイキングをしたり、子供部屋のゴミ袋を片付けるなど、子供でもできる簡単なお仕事を与えてあげてください。
そしてそれがきちんと最後までできた時にだけ、お小遣いをあげましょう。途中でやめてしまった場合にはお小遣いをあげる必要はありません。
お仕事表を作ってあげて、できたらシールを貼って、「シールが〇枚たまったら〇〇円あげるね。」などの方法でもいいと思います。表やシールを使って、視覚にうったえる方法はこの年齢の子供に特に効果的です。
2、Spending 支出
子供たちは「与えられたお金」ではなく「自分で稼いだお金」を使う時に、より慎重になる傾向があるそうです。大人にも同じことがいえると思います。苦労して稼いだお金を簡単に浪費には使えないですよね。
子供の時にきちんと支出をコントロールできると、大人になってからストレスなく自分の収入に見合った生活を送れるようになります。
ここで大事なことは、子供が何かを自分で購入したときに、子供自身に”自分で”そのものを獲得したことを認識させることです。
「誰かに買ってもらった」のではなく、「自分でお手伝いをして稼いだお金で欲しいものを得た」という認識が必要です。何を購入したかに関わらず、自分で獲得したという意識を持たせることが重要です。
3、Saving 貯蓄
子供自身がお小遣いを稼ぎ始めると、自分の欲しいものの中には、自分のお小遣いで買えるものとそうでないものがあることがわかってきます。
自分のお小遣いで買えない場合は、少しの間他の欲しいものを我慢して、貯蓄していく必要があることを学んでいきます。
子供が「もっとたくさんお小遣いを稼ぎたい」といった場合は、追加で何かお仕事を与えてあげたり、「ここまで貯められたら〇〇円はお母さんが出してあげるよ」という方法をとることもできます。
しかし、同じお手伝いに対して以前よりお金を多く払ったり、必要以上の手助けはしないことが重要です。
4、Giving 寄付、慈善活動
日本では`「お金の教育」と、寄付や慈善活動が結びつかない人が多いかもしれませんが、米国では「お金の教育」には必ずこの「Giving」が含まれます。子供に教えるべき最も重要なお金の教育の一つと考えられているからです。
寄付や慈善活動をすることは、親にとっても子供にとってもやりがいのあることになります。
常に自分のお小遣いの一部を人に与えるというルールを作ってみてください。一部というのは家庭によって異なりますが、ユダヤ人の家庭では収入の10%を寄付することが当たり前になっています。マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏は子供たちにお小遣いの3分の1を寄付することを義務づけていたそうです。
子供のころから寄付を続けていると、子供たちはこの習慣を一生持ち続けることができるようになります。
ビル・ゲイツも子供にしている「チャリティー」というお金の教育
6歳から10歳まで
お金の使い方を教える
この年齢になると、子供たちは以下のようなことを理解できるようになります。
・お金は物の価値と結びついている
・両親は毎日お金を稼ぐために働いている
・お金の使い方が異なること(本は一回の購入で買えるけど、車はそうではそうではない)
・紙幣や小銭などの物理的なお金以外の支払い方法があること
この年齢になると、友達と自分を比べて「あの子は僕よりたくさんおもちゃを持っている」や、「お友達は僕より大きな家に住んでいる」などの周りとの違いに気づき始めて、親に質問してくることがでてきます。
お金についてしっかりと子供と向き合う事で、これらの質問にきちんと答えてあげることができます。
まず、支出の仕方には人それぞれ違いがあると教えることで、他の人達がどのようにお金を使っているかを理解することができるようになります。
そこから予算を立てるために必要な、以下の3つのことについて学べるようになります。
1、Goods vs. Services 商品とサービス
2、Needs vs. Wants 必要なものと欲しいもの
3、Short-term goals vs. Long-term goals 短期的な目標と長期的な目標
1、Goods vs. Services 商品とサービス
お金は必ずしも物理的な商品に使われるとは限りません。サービスという他人の労力に支払われることもあります。この年齢の子供にはまず、その違いを教えてあげてください。
例えばお子様がゲームが好きだとしたら、ゲームそのものの商品に対してお金を払っていること以外にも、ゲームの製作者の「ゲームを開発する」というサービスにもお金を払っていることを教えてあげてください。
これは、子供に「仕事」の概念を紹介するいい機会にもなります。社会には商品の作成やサービスの提供によって報酬を受け取る仕組みがあることを教えてあげられます。
そしてママ、パパのお仕事についても子供に話せるチャンスです。
お金を稼ぐために毎日どんな仕事をしているかを子供に話してあげてください。
2、Needs vs. Wants 必要なものと欲しいもの
ほとんどの消費者の購入は、その人の「感情」で行われていると言われています。つまり「必要なもの」ではなく「欲しいもの」を中心に買っているという事になります。
販売する側はもちろんそのことを知っているため、広告はますますパーソナライズされてきています。
なのでできるだけ早く、「必要なもの」と「欲しいもの」の区別をする重要性を教えることが大切です。
そして家族(人)によって「必要なもの(家の大きさなど)」が異なることを教える機会にもなります。
家賃や光熱費などの請求書を見せてあげるのも一つの方法です。
「家に住む」ということだけでも、お金がかかるということが理解できるようになります。
予算内で食料品の買い出しをさせるなどの、予算に関連するお手伝いをさせることもおすすめです。
3、Sort-term goal vs. Long-term goal 短期的な目標と長期的な目標
子供に何か欲しいものがあるとき、それを買う事が「短期的な目標」なのか「長期的な目標」なのかを教えてあげてください。
もし子供が高価なものを欲しがっている場合、それを買うことは「長期的な目標」であることを子供に伝え、それを買うためにプランを立てて貯金するように促します。
親は子供の年齢に合わせて、毎月のお小遣いの額を上げたり、お手伝いの内容を増やしていく必要もあります。
11歳から13歳まで
お金にまつわるリスクと失敗を教える
子供が10代になると、理性、長期的な結果、複雑な感覚が発達してきます。
小さい時期の感情的な意思決定から、合理的な意思決定に変わっていきます。
そして自立を求めて、両親より友達との時間をより求めるようになります。
特に現代の子は、平均して一日6時間をSNSなどのメディアに費やしています。この結果、さらに仲間からの影響が強くなる年齢になります。
10歳までにするべき「お金の教育」ができている場合、この年齢では携帯電話などを通してデジタルで支払いをすることを教え始めてみてください。
もちろん、支払いに関しては親の監視のもとで行うように、家庭でルールを作る必要があります。
お子様が基本的なことをしっかり理解できている場合、キャッシュレスの社会について教えていく必要があります。
ただ単に、PaypalやVenmoなどの決済アプリについて教えるというだけではなく、この機会に子供たちの金融リテラシーをさらに高めるように取り組むことが大切です。
以下の5つの事がこの年齢の子供に必要な金融リテラシーになります。
1、Credit クレジット
2、Debt 債務
3、Interest 利息
4、Budgeting 予算
5、Identity theft 個人情報の盗難
1、Credit クレジット
「現金がない場合は何も買えない」ということを教える必要があります。つまり現金がないのにクレジットカードを使って支払うべきではないということです。
もし便宜上クレジットカードを使う場合は、毎月必ず全額を支払うようにする必要があります。このことをきちんと教えないと、将来子供たちを経済的な危険にさらす可能性が高くなってしまいます。
キャッシュレスの生活を子供たちに教えるためにはデビットカードが役に立ちます。お小遣いをデビットカードに入れてあげて、自分でカードの残高を確認させるようにすれば、現金を持ち歩かせる必要がなく、お金を管理させることができます。
クレジットカードを持たせる場合は、必ず月末に使用額を全額支払わせることを義務付けましょう。
2、Debt 債務
現代の子供たちは不況の中で育っているので、借金について大まかには理解できています。しかし40代以上の人達とは消費習慣が違うということがわかっています。
現金で支払いをしてきた40代以上の人達は、お金を使う時に物理的にお金が減っていくストレスを感じた経験があります。
しかしキャッシュレスだとその感覚は薄れてしまいます。なので、両親は子供の消費習慣を監視する必要があります。
現在は銀行のアプリなどを使えば簡単にチェックできますし、使用制限も設定できますので、是非利用してみてください。
もし、借金で大変な思いをした経験のある人は、その経験について正直にお子様に話してあげるのもいい方法です。
お金の概念を抽象的に話すよりも、クレジットカードのリスクが子供にしっかり伝わります。
3、利息
「利息」とは時間の経過とともにお金の価値が高まることを意味しています。なので、利息は方法次第で良くも悪くもなります。貯金や投資によって利息でお金が増えることもあれば、利息で借金が膨らむこともあるからです。
子供がもしクレジットカードを使いすぎて、月末に全額支払いできなかった場合や支払いを忘れてしまった場合、次の月の子供のお小遣いからその分を差し引いてください。その際、「利息」として少し多めにお小遣いから差し引いてください。
この利息として差し引く割合は、あらかじめ子供に話しておくのが良いと思います。その上で、利息の仕組みについてさらに子供としっかり話す必要があります。
4、予算
自分の支出を管理し将来のために計画して貯蓄をすることは、金融リテラシーの最も重要な能力の一つです。
この年齢になると、家事を手伝うことで得られるお小遣いや、親戚からのお年玉などでお金がだんだん貯まってくると思います。なのでここで一度子供の消費習慣と、短期的な目標と長期的な目標を確認してみてください。
この時期の子供の支出は全て子供の「欲求」に基づいています。しかし小学校高学年くらいからは、毎月の “Profit & Loss (収益と損失)”、つまり「収入」と「支出」を管理することをしっかり教えていきましょう。
予算を4つのカテゴリに分類して、予算管理ができるアプリや、エクセルなどで管理させる方法がおすすめです。
・収入
・支出
・貯蓄
・目標(毎月決まった額の「貯蓄」とは別に、何か欲しいもののためにお金を貯める項目)
定期的に子供と一緒に予算を確認していきましょう。
子供と一緒に、収入と支出のどちらが多くなっているのかを必ず確認していきましょう。
ここで重要なことは、子供自身に失敗をさせることです。
子供が欲しいものを買うために貯金することを手伝ってあげても、きっと途中でくだらないものにお金を使ってしまうと思います。
その時は、とことん後悔させてください。子供が中学生くらいになったら、先回りして手助けするのではなく、大丈夫な範囲で失敗させてあげましょう。
お金の管理で失敗する経験をさせることが、この年齢の子供たちには一番必要です。
5、Identity theft 個人情報の盗難
個人情報の保護は、支出や貯蓄と同じくらい大事な金融リテラシーの一部です。この年齢の子供は、実際親よりもデバイスに精通している場合がほとんどです。ですが親がしっかりと子供たちの個人情報を保護する必要があります。
お子様のSNSのアカウントをチェックするだけではなく、なぜフェイスブックやインスタグラムなどの人気アプリが無料で使用できるのかということ(データマイニング:大量のデータから統計などの知識を取り出す技術)などについて教えてあげてください。つまり「個人情報」にはそれだけの価値があり、盗まれる危険性があるということを教える必要があります。
そのようなアプリを使用するときには位置情報がオフになっているか、投稿にジオタグがつけられているかを確認してから投稿させるなどの、自分の個人情報を守ることの大切さや方法を教えてあげましょう。
また、公共のWi-Fiで個人情報を利用することの危険性も教えましょう。
PaypalやVenmoなどのeコマースアプリのセキュリティページも一緒に確認しましょう。
以上が3歳から13歳までの金融リテラシーを高めるための「お金の教育」になります。
次回は13歳から18歳までのyong adult(ヤングアダルト)と呼ばれる世代の「お金の教育」をご紹介します。
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