「お金の歴史」を学んで子供の「お金ってなに?」の疑問に答えよう!

今回は「お金の歴史」についてお話したいと思います。「お金の歴史」と一言で言っても、たくさんのストーリーがあります。
今回は一番簡単な「紙幣を発行する仕組みができるまで」をお話したいと思います。

ー目次ー

・「お金」ってなに?
・子供に教えたい「お金の歴史」
・お金って誰が作るの?

「お金」ってなに?

この質問にきちんと答えられますか?

子供に「お金って何?」と聞かれた時になんと答えていますか?

辞典などを調べると、「お金」には以下の3つの役割があると書かれています。
1、価値の尺度
あらゆるものの基準に使うことで、比較したり判断する材料に利用できる。
2、交換手段
欲しいものと交換するための決済手段として利用できる。
3、価値貯蔵手段
モノと違って腐ることがないので、貯めておけけば好きな時に交換することができ、たくさん貯めて高価なものと交換することもできる。

ここで「あれ?」と思う人もいるかもしれませんが、この3つのお金の役割には「お金そのものに価値がある」とは書かれていません。

上記の説明から、「お金」つまり「紙幣」そのものには何も価値がなく、ただの印刷された紙ということがわかります。頭では何となく理解できても、このことを子供に教えるのは意外と難しいことです。

「お金の歴史」を知ることは、「お金そのものには価値がない」ということを教えることに、実はとても役に立ちます。

昔の人から学べるたくさんのこと

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言う言葉がありますが、長い時間の中で繰り返される成功や失敗のパターンがあります。
歴史を知ることは、そのパターンを学び、自分が成功をつかむことにも繋がります。

そして、お金の形は30年から40年くらいの周期で変わるとも言われています。
さらに、70年から100年の周期でもっと大きな転換期が来ると言われています。
ブロックチェーンの仕組みから作られた、ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)がまさにそれにあたるものだと思います。
今お金に関する大きな転換期が来ています。
お金勉強をして知識を深めて、これからの時代に対応できる子供を育てていきましょう。

子供に教えたい「お金の歴史」

物々交換は結構大変!?

みなさんが知っている通り、昔は物々交換をしていましたよね。
でも実はこの物々交換はとても効率が悪かったんです。なぜなら自分の欲しいものを持っている人が、自分が持っているものを欲しがるとは限らないからです。
つまり商談が成立する確率は極めて低かったんですね。

そこで登場したのが「市場」です。

何かを売りたい人、何かを買いたい人が集まる場所を作ったんですね。
これで商談が成立する確率が格段に高くなりますよね。

しかしやっぱりここでも需要と供給が一致するとは限りません。相手の持っているものが欲しくても、相手が自分の持っているものを欲しがってくれなければ売買が成立しないからです。

ここで、自分の持っているものを一旦「みんなが欲しがるもの」と交換して、それを使って自分の欲しいものと交換するという仕組みが生まれます。
「みんなが欲しがるもの」を持っていれば、いつでもどんなものとでも交換ができるからです。

日本の場合はこれが「お米」でした。

昔は「稲」のことを「ネ」と呼んでいました。現在モノの値段を「値(ネ)」というのは、ここからきているそうです。
そしてもう一つの「みんなが欲しがるもの」は「布」でした。
なので昔の日本では、「お米」と「布」を使って売買が行われていました
「紙幣」の「幣」と言う字には「布」という意味があります。ここにもお金の歴史の跡が残っているんですね。

ちなみに、中国ではこれが「貝(子安貝)」でした。
「買う」「購入」「貧しい」など、お金に関する漢字に「貝」が含まれているのはこのためです。
古代ローマでは、兵士への給料は「塩」でした。ラテン語で「塩」はサラリウムと言います。「サラリー(給料)」の語源はここからきているそうです。

金、銀、銅の時代へ

このように、地域によってさまざまな「みんなが欲しがるもの」が交換に使われていました。しかしやはり少し使いづらいという話になってきます。
そこで登場したのが、金、銀、銅です。

金、銀、銅が使われたことには2つの理由があります。
1、その辺に転がっているものではないため、とても価値がある
2、簡単に溶かして鋳型に流し込める

こうして世界的に金、銀、銅が「お金」として使われるようになりました

しかし金、銀、銅を使って大きな商談をし始めると、問題が出てきます。
・重くてたくさん持ち運ぶのが大変
・お金を持っていることがすぐにわかってしまうので、盗難に合いやすい

そこでみんなはその地域のお金持ちに自分たちの金、銀、銅を預けることにしました。そして預けた時に「預かり証」を受け取ります。
その預かり証を持っていれば、いつでも金と交換できるようにしたんです。

これはお金持ちの「信用」から成り立っています
たくさんお金を持っているお金持ちに預ければ、いつでも「預かり証」を金に交換できる、という「信用」の元、この仕組みは成り立っています。

そのうちにこの「信用」によって、「預かり証」そのものを使って商談を成立させることができるようになります。「預かり証」を受け取った人がお金持ちの家に行って、そこでいつでも金に交換できるからです。

つまりこの頃は「預かり証」が「お金」として使われるようになります。
「預かり証」なら軽くて、簡単に持ち運びが可能です。
これが「紙幣」の始まりです。

ここまでの「お金の歴史」を見ると、
・「お金」は欲しいものを得るための「交換手段」であること
・「お金」は物の価値を図る尺度として使えること
・「お金」は「信用」から成り立っている
・「お金」を使って自分の持っている「価値」を保管することができる

ことがわかってきますね。

このように「お金の歴史」を知ることは、「お金の本質」を理解し「お金ってなに?」という疑問を解決してくれます。

お金って誰がつくるの?

お金を管理する人達

ここまでは物々交換から「お金」が生まれるまでのお話でした。
では「お金」が生まれたあとからはどのようになったのでしょうか。

今後は「お金を管理する人」が必要になってきます。
それが時代劇などでよく出てくる「両替商」です。

両替商には大きく2つの仕事がありました。
1、金銭の売買を行う仕事
金一両は何銭で取引で取引されているのか、これからはどうなるのか、を読んで金銭を売買して儲けることです。
2、「預かり証」を発行して信用取引を仲介する仕事

この2つの仕事は、まさに現在「銀行」が行っていることですね。

明治維新以降、この「両替商」が「銀行」に進化していきました。

日本銀行の誕生

昔のお金は「兌換紙幣(だかんしへい)」と呼ばれ、銀行に預けてある「金」と交換することができる「金と交換するためのもの」でした。
つまり、昔はどこの銀行も勝手に紙幣を刷ることができていたんですね。

ですがそのうち問題が生じてきます。
実際に預かっている「金」以上の紙幣を発行する銀行が出てきてしまいます。
すると、当然その銀行には発行した全部の紙幣と交換できるだけの「金」がないわけですから、取り付け騒ぎが起き(紙幣と金を交換しようと人が殺到し)、結果銀行はつぶれてしまいます。
一つの銀行がつぶれることで、「いつでも銀行で紙幣を金と交換できる」という「信用」が崩れていきます。これが金融不安につながっていってしまします。

その後、各銀行に紙幣を発行させることをやめさせて、国の「信用」を背景とした「中央銀行」だけが紙幣を発行できるようになります
これが「日本銀行」の誕生になります。

日本銀行には3つの大切な役割があります。
1、銀行の銀行
2、政府の銀行
3、紙幣を発行する銀行

1、銀行の銀行

私たちが銀行に口座を持っているのと同じように、各銀行も日銀に預金口座を持っています。各金融機関はこの口座を知用してさまざまな決済を実行することができます

例えば、誰かがみずほ銀行から三井住友銀行にお金を送金したとします。この時、銀行間でお金が動いていますが、もちろんみずほ銀行の銀行員が三井住友銀行にお金を運んでいるわけではないですよね。このような決済は、各銀行が日銀に持っている当座預金の中で行われています。

2、政府の銀行

私たち市民は日銀に口座を持ってお金を預けることはできませんが、「税金」というお金を日銀に納めています

税金は日銀の金庫に保管されています。
つまり日銀は国民から納められたお金を保管しておく「政府の銀行」でもあるんですね。

実はもう一つ、「交通違反の反則金」も日銀に納められるお金です。実際は郵便局や町の銀行で払っていますが、そのお金は日銀の「歳入代理店」である町の銀行や郵便局から、しっかりと日銀に納められています。

3、紙幣を発行する銀行

先ほど日銀は日本で紙幣を発行できる唯一の銀行と言いましたが、どのようなルールでお金を発行しているのでしょうか

昔は世界中の銀行が「金本位制」でした。
金の量がお札の信用を保証する仕組みで、金の量に合わせて紙幣を発行していました。

しかし、第一次世界大戦後に、世界中の銀行が金本位制をやめていきました。
なぜなら、金本位制を採用していると、その国の中央銀行が持っている金の量しかお金を発行できないからです。

当たり前のことですが、これの何が問題なのかというと、景気が悪いときに市場に流通するお金を増やして金融政策を行いたいと思っても、それができないからです。

こうして先進国が「金本位制からの離脱」をすることになりました。

この時以来、紙幣は金と交換できる「兌換紙幣」から金と交換できない「不換紙幣」へと変わりました。

金本位制をやめたので、紙幣に「いつでも金と交換できる」という「信用」の価値はもうありません。つまり紙幣はただの紙切れです。

しかし現在も紙幣を「お金」として使える理由はそこに「これはお金なんだ」というみんなが持っている共通の「信用」があるからです。

お金の歴史を振り返ると、はじまりはお米や貝、金といった、「みんなが欲しがる共通のもの」から始まっていましたよね。
ただの紙切れである紙幣が、現在もお金として成り立っているのは、「いつでも欲しいものと交換できる」というみんなが持つ共通の「信用」があるからです。
これがあれば、「紙幣」はお金として成立しつづけることができるんですね。
「お金」と「信用」はとても深い結びつきがあることがよくわかります。

逆にこの「信用」をみんなが共通して持っているものであれば、「紙幣」以外のものが「お金」として成立するとも言えますね。
これに一番近づいているのがブロックチェーンの仕組みを使った「仮想通貨(暗号資産)」ですね。

国債の量で紙幣の量が決まる

金本位制の時は、金が入った量に合わせてお金を発行していました。
では金本位制をやめた現在は、どのように紙幣を発行する量を決めているのでしょうか。

現在の紙幣を発行する量は、「国債」で決まっています

「国債」とは簡単にいえば「国の借金」ですよね。

政府が国会で予算案をとおすことで、その年に発行す国債の量は決まります。
つまり「今年はこれだけ借金します」ということを政府が決めるわけですね。

そうして発行された国債を、一般の銀行や個人が買います。
中央銀行(日銀)は、その一般の銀行が買った国債を買い上げます。
そして、その買い上げた額と同じだけの紙幣が日銀(中央銀行)で発行されます。
そしてその紙幣を各銀行に渡す、という仕組みになっています。

昔は政府が発行した国債を日銀が直接買い上げていました。
しかしこの仕組みだと、政府はいくらでもお金を刷ることができ、ついつい刷りすぎてしまうということが起こります。
その結果インフレ(お金を刷りすぎてお金の価値が下がってしまう事)が起きしてしまいました。
なので、現在は日銀が政府の国債を直接引き受けるという仕組みはなくなりました。


以上が「紙幣を発行する仕組みができるまで」の「お金の歴史」です。
歴史を知ると、「お金」が一体どういったものなのかを理解することに役立ちます。
是非お子様と一緒にお金の歴史を勉強してみてください。

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投稿者: Hiroko mama

カリフォルニアで夫と3人の息子と暮らしています。 早期リタイアのために米国株式投資で資産形成を始めました。 金融リテラシーを高めるために日々勉強中です。

「お金の歴史」を学んで子供の「お金ってなに?」の疑問に答えよう!」に11件のコメントがあります

  1. 教科書的な勉強なりました。

    暗号資産はまだまだリスキー。現代の貨幣資産があるかぎり、資産とみなさないという人がいる。
    今は携帯ゲームのゴールドとか武器並みの価値しかない。
    本当に価値ある物は、ダイヤ、金銀、不動産、あとは金を稼ぐ能力がある人の頭脳。それに集まる人脈が真の資産。

    反論ある方!募集中。

    いいね: 1人

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