「お金の教育」には、子どもの将来を豊にするための要素がたくさん詰まっています。
お金の教育が子供の将来を変える
お金の「歴史」や「仕組み」についての理解を深めることは、子どもの人生に必ず役立ちます。今回はその中でも重要な、株や株式会社についてお話したいと思います。
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「お金の歴史」を学んで子供の「お金ってなに?」の疑問に答えよう!
家庭での「お金の教育」については他のブログで紹介していますので、ブログの最後にあるリンクから参照してみて下さい。
ー目次ー
・株や株価指数ってどんなもの?
・企業と株ってどんな関係?
・AIと人間のトレードって何が違うの?
株や株価指数ってどんなもの?
株ってなに?

テレビやネット、新聞などで毎日の様に「株」という言葉を耳にしますが、「どんな仕組みかよくわからない」と言う人も実は多いと思います。
株式会社が資金を集めるために発行する証明書のことを、一般的に「株」と言います。
その市場で取引される「株」についた値段が「株価」です。需要と供給の関係から、株価は上がったり下がったりします。
「買いたい人」の需要と「売りたい人」の供給で株価が決まるわけですから、株で利益を出すためには、その「会社の情報」だけではなく、「世間の人達がこの株についてどう考えているか」をよく考える必要があります。
それを踏まえた上で、安い時に買って高い時に売る。株で利益を出すために必要な仕組みはこれだけです。
しかしこのようなシンプルな仕組みでも全員が利益を出せるわけではないのは、これがとても難しいことだからです。企業分析や経済の動向を把握するには深い知識が必要になりますし、売り時や買い時の「タイミング」を正確に読むことは、プロのファンドマネジャーでも難しいと言われています。
証券会社の仕事って何?

「株」の売買を会社と投資家の間に入って行うのが証券会社です。
証券会社は主に以下のような仕事をしています。
・売買注文を受けて、株の売買をする
・上場していない会社を探して、上場させる
・新株を発行したい会社の相談に乗る
・自社の儲けのために株取引を行う
・投資信託などの金融商品を開発・販売する
世界最大の金融街はニューヨークにある「ウォール街」です。
もともとネイティブ・アメリカンからの襲撃を防ぐために、「ウォール(壁)」を立てた場所を「ウォール・ストリート」と呼んでいて、そこで株の売買が始まったことから、「ウォール街」となりました。
NYSEやNASDAQってどんな株式市場?
株価指数で国の「経済」がわかる

株式市場には、株価以外に「インデックス」と呼ばれる「株価指数」というものがあります。
日本の場合「日経平均株価」や「TOPIX(トピックス:東証株価指数)」といったものが有名です。
「日経平均」は、日本経済新聞社が独自の基準で選んだ企業225社の株式平均値をとった指数です。実は日本の経済の指標として使われている「日経平均」は、私企業が出している株式指数に過ぎません。
もう一つの「TOPIX」は、東証一部に上場されている企業の時価総額をすべて足し合わせたものを、過去と比較した指数です。日本の株式市場全体の傾向が見れる指標になっています。
日経平均は米国の「ダウ平均」、「TOPIX」は「S&P500インデックス」に似ています。
NYダウやS&P500 ってどんな指標?
この二つはどちらも経済の好不調を表す指標ですが、算出方法も示された数値の内容も全く違うものなので、日経平均は上がっているけどTOPIXは下がっているという状況もあり得ます。
TOPIXの単位は「円」ではなく「ポイント」です。計算を始めた1968年1月4日時点の時価総額を100ポイントとしています。
ちなみに2021年1月21日現在のTOPIXは1,860.64ポイントです。
1968年から比べると、約18倍くらい日本の経済価値は上がったということになります。
株価指数をみると、その国の経済を見る時の目安にすることができます。
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企業と株ってどんな関係?
世界で最初の株式会社

17世紀にオランダやイギリス、フランスの作った「東インド会社」が世界で最初の株式会社と言われています。
当時のヨーロッパには、肉を保存するために使う香辛料を求めて、アフリカやアジアに進出しようとする人が大勢いました。
しかし当時の造船技術では、このような長い航海には多大なリスクが伴いました。アフリカやアジアまで無事に渡って、香辛料を手に入れてビジネスを始めれば大金持ちになれますが、もし嵐などで船が沈んでしまった場合、とてつもない損失を被ることになります。
このようなリスクを減らすために考え出されたのが「株式会社」という仕組みです。
一人で資金を用意するのではなく、みんなでお金を出し合い、利益をみんなで分ける、という仕組みです。利益を分けなければいけない分、失敗した時のリスクも一人で背負う必要がなくなります。当時は法律がそこまで整っていない時代なので、破産したらそれで自分の人生が終わってしまう可能性も十分にありました。
ですがこのような「株式会社」の仕組みのよって、失敗しても自分が出資した分だけにリスクは抑えられ、成功すれば儲けられるという画期的なシステムが生まれました。
「出資をする」ということは、その会社の発行する「株式を買う」ということなので、「株式会社」という名前が付きました。
この「株式会社」という仕組みの発明によって、資本主義経済はその後どんどん発展することになります。
企業はなぜ株価を上げたいの?

株式市場での株の売買で投資家が利益を出したとしても、株を発行している会社が儲かるわけではありません。では、なぜ企業は株価を上げようとするのでしょうか?
「株価が上がる」と企業にとって大きなメリットが二つあります。
1,社会的な信用度が高くなる
株価が上がり会社の信用度が上がると、銀行から資金を調達しやすくなります。
2,新株の発行を有利に行える
新たに資金を集める方法として新株を発行して「増資」をするときに、新たに発行する株を高い値段で売り出せます。
こうすると、多額の資金を手に入れることができます。
このような仕組みから、株価を高く保っておくことで、企業は資金を調達しやすくなります。逆に株価が下がれば、社会的な信用もなくなり、資金調達もしにくくなります。
なぜ非上場にする企業があるのか?

経営陣で自社の株を買い占めて会社を非上場にしてしまう企業もあります。
増資しても市場には出さず、それをまた自分たちで買い占める、ということをします。
このように、会社をわざわざ非上場にするのには、だいたい二つの場合があります。
1,ダメになった会社を根本的に立て直したい場合
株式を上場している場合、会社は株主のものです。この場合、会社はオーナーである株主の意見を聞く必要があるので、大胆な経営改革を行うことができません。
そこで非上場にして、リストラなどで会社を新しくして再上場をする、というやり方があります。
投資ファンドに株をすべて買ってもらって、一度非上場にするという方法もあります。
投資ファンドからすれば、買った時の株価と、再上場した時の株価の差額で儲けを出すことができます。
2,株主から支持をされたくないと経営陣が考えた場合
株を公開しているということは、「公になる、社会のものになる」ということでなので、経営状態もオープンにしなければなりません。
株を公開すれば資金は集まりますが、やりたいことができなくなる可能性があります。
新聞社などが初めから株を上場していないのはこのためです。記事の内容に口を出されたり、株を買い占められて会社を乗っ取られたら困るからです。
日本では「サントリー」が非上場の大企業として有名です。上場持株会社の「サントリー食品インターナショナル」を除き、上場していません。理由として「酒の醸造には時間が掛かり、短期的な利益を要求される株式公開に馴染まない」というのがあるそうです。結果的に、サントリーは非上場で大成功することになりました。
AIと人間のトレードって何が違うの?
AIは株価にも影響を及ぼす?

「フィンテック」によって銀行の仕組みが変わり、今後はAIが融資を行うことも予想されています。
銀行の賢い使い方 フィンテックで銀行はどう変わる?
そして金融ビジネスの世界で最も「フィンテック」の影響が顕著に出ているのが、「トレード」の世界です。
現在株式取引のほとんどが人間の手では行われていません。米国の大手投資銀行であるゴールドマン・サックス社には2000年には約600人いたトレーダーが、2017年には2人しかいなくなったそうです。
現在投資ファンドによる株の売買は、コンピュータがあらかじめ組み込まれたプログラムに沿って行っています。これは近年株価が乱高下してしまう原因の一つになっています。
例えば、2019年の1月に米国の株は大暴落しました。これは、「Appleが下方修正した」というニュースに対して、AIが「Appleの株を売ろう」となり、大量にAppleの株が売られ、株価が下がったためです。
この一連の流れは従来の株取引と同じで、かつてはファンドマネジャーが世界中のニュースや企業分析をしながらこの作業をしていました。
しかし、人間がこれをするのとコンピュータがするのでは、「速さ」と「規模」が全く違います。
コンピュータの場合、ニュース速報が流れた一瞬のうちに「売り」が入ります。
しかもこのようにプログラミングされたコンピュータは世界中のファンドで利用されているので、世界中で「売り」が入ることになります。これによって平均株価が下がると、市場で取引されている株がどんどん売られることになります。そしてこれがまた世界中で起こります。これによって市場の株価は急落します。
しかし、企業本来の価値よりも価格が下がると、今度はプログラムによって「買い」が入ります。するとこれがまた世界中で起こり、株価が急上昇し始めます。
これが今世界中で株が急落、急上昇している理由です。
では大型の投資ファンドはどのようにして他社より儲けられるのでしょうか。
投資プログラムの精度を高めるということをしているはもちろんですが、それよりも重視されているのが、自社の注文サーバーを証券取引所に少しでも近いところに置くということです。証券取引所の大型コンピュータと注文を出す自社のコンピュータが、物理的に距離が近い方が、注文してから取引所がその情報を受け取るまでの時間が短くなります。
大型の投資ファンドは、このわずか0.001秒ほどの差で、他社よりも利益を出しています。最先端の金融ビジネスでは、このようにして一瞬の速度の差の取引きによって利益を出しています。
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株式投資で得られる「お金」以上のもの

株や投資信託を買う事は、自分の大切なお金を投資に費やすということです。
誰でも大事なお金を失いたくないので、株や投資信託への投資を始めると、自然と経済や世界で起きる事件、政治などのニュースに敏感になっていきます。そして、気づいたら政治や経済、世界情勢について以前より詳しくなっています。
例えば中国の企業を集めた投資信託に投資している場合、中国で起きていることがとても気になるようになりますよね。他の国の政治や他国との関わり方まで、今まで聞き流していたニュースが目に留まるようになります。
また、自国の政治方針にも興味が湧いてきたりします。
このように、投資をすることによって、投資やお金といった枠を超えた知識が増え、たくさんのことに興味を持てるようになります。
是非「お金の教育」の一環として、株式投資についてお子様にも話してみてほしいと思います。
株式投資をするべき14の理由
子どものお金に対する価値観は6歳くらいまでに決まると言われているので、「お金の教育」は、家庭で始めることが重要です。
できるだけ早く家庭で子供の「お金の教育」に取り組むことで、金融リテラシーを高めて、お金に振り回されない人生を子供に与えてあげることができます。
家庭での「お金の教育」については他のブログで紹介していますので、是非参考にしてみてください。
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