今回は、近年注目を集めている「金」への投資ができる米国ETFを3つ紹介したいと思います。
日本のネット証券でも取引可能ですので、是非最後まで読んで「金」への投資を検討してみてください。
―目次ー
・なぜ今「金」への投資が人気なのか?
・おすすめ米国「金」ETF3選

なぜ今「金」への投資が人気なのか?
究極の資産はやっぱり「金」
昔は世界中が「金本位制」を採用していました。現在は「金本位制」は廃止されていますが、以前は「金」と換金できるという保証があることで、ただの紙である紙幣に「価値」がありました。今でもドルやユーロなどの通貨の信用が落ちると、自然と「金」の値段が上がっていきます。
通貨の信用が落ちると同じように価値が上がるものに、ビットコインなどの「暗号資産」もあります。ですが「暗号資産」は日々の価格変動が激しいので、まだ通貨に代わる「お金」になるには時間がかかることが予想されています。
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「世界中で絶対的に価値があるもの」を突き詰めていくと、結局は「金」ということになります。コロナショックによる金融政策によりドルの価値が下がる今、「金」への投資が再び注目を集めています。
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金の価格は底上げされた?
実は近年、「金」の値段は下がりにくくなっています。
「金」がETFなどの投資信託で販売されるようになると、少なくとも「金」の投資信託を販売している会社は、一定の量の金を保有し続ける必要が出てきます。もし「金の値段が下がる」と予想したとしても、「金」の投資信託を販売している金融機関は、保有しているすべての「金」を売ることはできません。一定量を保有していなければ、売買を円滑に行うことができないからです。
つまり、「金」の「売り」の量は限られることになります。
この流れが世界的に広まったことで、金の値段が下がりにくくなりました。「金」の投資信託が販売されるようになったことで、金の価格が底上げされたということにもなります。
また「金」のETFは、企業年金や公務員の年金の運用のために企業や役所がたくさん保有しています。カリフォルニア州でも、役人の年金運用を「金」の投資信託を使って行われています。年金運用などの大規模な機関が運用に使っている投資信託は、売られることがほとんどありません。これも「売り」の量が制限されて、金の値段が下がりにくくなった要因の一つです。
株式市場と違う動きをする「金」ETF
金先物取引や金鉱山銘柄の取引きなどの代替手段として、米国のETFを利用して「金」への投資をすることができます。
ETFを使って「金」に投資することには、以下の5つのメリットがあります。
1、流動性がある
「金」に投資できるETFは、金先物取引や金鉱山会社の株式などに比べて流動性が高く、取引きしやすい商品だと考えられています。
しかし、金の価格は大きく変動する可能性があり、金を追跡するETFも変動しやすいという側面も持っています。
2、低コスト
米国のETFを利用すれば、低コストでの運用が可能です。
3、売買が簡単
金の現物への投資はセキュリティを考えると保管が大変ですし、決済するまでにも手間と時間がかかります。
しかし、金の価格に変動するETFなら、いつでも自由に売買ができます。
4、分散性
株式市場とは無関係の資産なので、株式市場の乱高下によるリスクを回避できます。
5、政情不安のリスクヘッジ
「金」は国や世界の不確実性が高いときには価値が上昇するため、政情不安などのリスクヘッジができるということも「金」投資の魅力です。
まずは、ETFを使ってポートフォリオのごく一部(5%)くらいから投資することをおすすめします。

おすすめ米国「金」ETF3選
「金」へ投資ができるおすすめの米国ETFを3つ紹介したいと思います。
1、SPDR・ゴールド・シェア(GLD)
SPDR Gold Shares(GLD) | |
資産総額 | 67.993(十億USD) |
設定日 | 2004年11月18日 |
経費率 | 0.4% |
トータルリターン | -3.83%(年初来)15.82%(1年)10.24%(3年)8.61%(5年) |
SPDR・ゴールド・シェア(GLD)は、米国で最初に取引された金のETFで、競合他社のどのファンドよりも多くの資産を保有していて、その資産は他社の約3倍になります。
SPDR・ゴールド・シェア(GLD)は、保管庫に保管されている現物の金地金(インゴット)の一部を保有しています。これにより、投資家は金地金やコインを物理的に保管したり、保護したり、保険をかけたりする手間をかけずに、金価格の上昇に投資することができます。GLDの場合、ETFの価格は金の1オンスの10分の1に相当します。
SPDR・ゴールド・シェア(GLD)の規模の大きさと人気は、投資家にとってメリットがあります。SPDR・ゴールド・シェア(GLD)は非常に流動性が高く、※ビッド・アスク・スプレッドが小さく、※オプション取引は他の「金」ファンドよりも健全です。
SPDR・ゴールド・シェア(GLD)の唯一の欠点は、経費率が比較的高いことです。
※ビッド・アスク・スプレッド(Bid Ask Spread)
取引の最も高い買値(最良買い気配値)と最も安い売値(最良売り気配値)の差のことで、この差が小さいほど、売買にかかる取引費用が小さくなります。また、売買にかかる取引費用が小さい市場ほど、流動性が高くなります。
※オプション取引
将来の売買に関する取引という点でオプション取引は先物取引とよく似ています。
しかし、先物取引が将来売買する「約束」であり、約束の価格と売買時の市場価格の関係によって利益とも損失ともなりうるのに対して、オプション取引は売買できる「権利」を購入することなので、その権利行使による売買で得をするときだけ権利を行使し、損をするようなときは権利を放棄できるという「オプション」つまり「選択権」があるという違いがあります。
楽天証券から購入する場合はこちら:SPDRゴールド・シェア(1326)
SBI証券から購入する場合はこちら:SPDRゴールド・シェア (1326)
2、iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)
iShares Gold Trust(AIU) | |
資産総額 | 31.001(十億USD) |
設定日 | 2005年1月28日 |
経費率 | 0.25% |
トータルリターン | -3.75%(年初来)16.06%(1年)10.35%(3年)8.79%(5年) |
iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)は、2005年から運用されている歴史と、運用資産が約300億ドルに達していることで、SPDR・ゴールド・シェア(GLD)と同じく人気の高いETFです。そしてSPDR・ゴールド・シェア(GLD)よりも経費率が低いことも特徴です。
iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)は、その株価が1オンスの金の何分の1かを表すという点でSPDR・ゴールド・シェア(GLD)と似ていますが、iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)の場合は、1/10ではなく1/100となっています。
それ以外の点では、SPDR・ゴールド・シェア(GLD)の金ETFと非常によく似ています。下の過去5年間の株価推移をみると、2つがほとんど同じパフォーマンスをしていることがわかります。
しかしiシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)は、SPDR・ゴールド・シェア(GLD)ほど流動性が高くなく、ビッド・アスク・スプレッドも小さくないため、短期トレーダーにはあまり向いていない商品です。
しかし、コストが大幅に低いため、長期的な購入者にとっては、SPDR・ゴールド・シェア(GLD)より良いかもしれません。
30年の間に、10,000ドルの初期投資で年間5%の利回りを想定すると、投資期間中iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)の手数料はSPDR・ゴールド・シェア(GLD)よりも約1,700ドル少なくなります。
日本からは、Black Rockで取引可能です。
iシェアーズ ゴールド・トラスト
また、「iシェアーズ・ゴールド・インデックス・ファンド」への投資もネット証券で可能です。
楽天証券:iシェアーズ・ゴールド・インデックス・ファンド
SBI証券:ブラックロック-iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド
3、ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(GDX)
VanEck Vectors Gold Miners ETF(GDX) | |
資産総額 | 15.369(十億USD) |
設定日 | 2006年5月22日 |
経費率 | 0.52% |
トータルリターン | -2.22%(年初来)24.03%(1年)15.72%(3年)15.84%(5年) |
上記の2つのETFのように現物保有をする金ETFは、株式市場を経由して金に投資する最も直接的な「金」投資の方法です。しかし、他にも鉱山株を介して金に投資するということもできます。
金鉱夫は鉱山から金鉱石を採掘し、それを金に加工します。そして、金を販売する価格よりも低いコストでそれを行い、利益を得ようとします。鉱山に投資する最も理想的な状況は、金の価格が上昇し、金の生産コストよりも高くなっている間に、生産コストの低い金鉱山を保有するということです。
このような「金」投資に参加する最も簡単な方法は、VanEck Vectors Gold Miners ETF (GDX) などの金採掘会社の株式を保有するETFに投資することです。
VanEck Vectors Gold Miners ETF (GDX)は金採掘関連の企業の株式を約50社保有しています。VanEck Vectors Gold Miners ETF (GDX)は時価総額に保有数が比例するので、時価総額が大きいほど、VanEck Vectors Gold Miners ETF (GDX)が投資する資産の割合が大きくなります。
VanEck Vectors Gold Miners ETF (GDX)は、ニューモント(NEM)、バリック・ゴールド(ABX)、フランコ・ネバダ(FNV)などの大規模な鉱山会社の保有数が多くなっています。このためVanEck Vectors Gold Miners ETF (GDX)は、「トップヘビー」と呼ばれる資産の3分の2近くが上位10銘柄に集中している状態のETFになっています。
注意点としては、実際に金を保有している金ETFよりも、金鉱業者の方がより金価格に反応する傾向があるということです。これは好況時には大きな成長が見込めるため、短期的な取引には適しています。しかし、安定性が低いという面があるので、長期的な取引にはあまり適していないと言えます。
楽天証券から購入する場合はこちら:GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF
SBI証券から購入する場合はこちら:VANECK VECTORS GOLD MINERS ETF (GDX)
過去5年間の3つの金ETFのパフォーマンスです。
SPDR・ゴールド・シェア(GLD)とiシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)はほとんど同じパフォーマンスであることがわかります。
VanEck Vectors Gold Miners ETF (GDX)は他の2つと比べるとリターンは大きいですが、変動率も大きいため安定性が低いことがわかります。

以上が「金」に投資ができるおすすめの米国ETF3つです。
是非ポートフォリオへの組み入れを検討してみてください。
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