こんにちは。
今回は「株式分割」についてお話したいと思います。
株式分割とは?
株式分割とは英語でStock Splitといい、企業が現在発行されている株を分割することをいいます。1株が2株や3株に分割されるということです。1株につき1.5株というような分割がされることもあります。株を分けているだけですからその銘柄の株の価値は何も変わりません。つまり企業が資本金を変えずに株式数だけを変更するわけです。
すでに株式を保有している投資家は分割された株を割り当てられます。株数は増えますが、一株当たりの株価は分割されて下がるので、保有する銘柄の総額は変わりません。仮に1株1000円の株が1:2(2株)に分割された場合、分割後の保有数は2株になりますが、この時点で一株500円に修正されているので総額は1000円のままです。
ではなぜ企業は株式分割を行うのでしょうか。
それは流動性を高めるためです。
株式における流動性とは投資家による売買の頻度で、流動性が高いということは活発に取引が行われている状況です。株式分割をして一株あたりの株価が下がると、売買がしやすくなるため株価の動きが活発になります。特に購入が増えて株価が上がる可能性が高くなります。
株式分割を行った銘柄をすでに購入している場合、特に変化はありませんが、一株あたりの株価が下がるため、細かく株を売却できることになります。また、これから購入しようとしている人は購入しやすくなります。特に小口投資家にとって買いやすいというメリットがあります。
株式分割をしたあとは買う人が増えて株価が暴騰することがありますが、適正価格を超えてしまいその後暴落するというリスクもあります。
株式分割をした企業
最近では米国電気自動車メーカーの「テスラ」と「アップル」が株式分割を行いました。
アップルは7月30日に1株を4株に分割し、テスラは8月11日に1株を5株に分割しました。テスラは分割前、一時1600ドル台まで値上がりしていたため、小口投資家には高額すぎる銘柄になっていました。分割の発表後、今まで購入できなかった投資家の買いが殺到し株価はさらに上昇しました。アップルは2014年にも株式分割を行っており、現在の株価は当時の5倍以上にもなっています。
コロナショック後ハイテクセクターは株価が上昇している銘柄が多数あり、今後他のテクノロジー企業も株式分割を行う可能性が高いと言われています。
このように、分割後に買いが殺到している注目株の購入を検討している方も多いかと思いますが、大事なのは株価が上がるであろうという短期的な予測ではなく、その企業のビジネスモデルや財務状況です。
テスラの場合、株式分割をしたことで購入しやすくなり、実際に株価も上昇していますが、それは分割による一時的な動きであってテスラの将来的な株価に影響するわけではありません。なので「株式分割をしたから今買わなくては!」と思っている方は少し冷静になって考えてみてください。テスラの時価総額は9月4日現在3,796億ドルです。テスラの将来のビジネスモデルを考慮して、現在の時価総額を超えると考えるのであれば今購入することを検討することは良いと思います。しかし、「みんな買っているから今買わないと自分だけ損をしてしまう!」とか「このまま株価が上がるに間違いない!」と単純な憶測で購入するのはおすすめしません。
世界一の投資家ウォーレン・バフェットの言葉で、「わからないものには投資をしてはいけない」という言葉があります。
自分が理解できていない状態で周りに流されて投資をすることは、結果的に自分の利益につながりません。他人の投資方法や他人の利益は、自分の投資方法や人生プランにはまったく関係ありません。「自分の投資の目的は何なのか?」ということを忘れずに目的に沿った投資を続けていきましょう。