こんにちは。
今回は子供の金融リテラシー(金融に対する知識や理解が深く、正しく判断する能力)を高めるために、家庭でできる金融教育についてお話したいと思います。
前回は「金融リテラシーを高める 保育園から中学生編」でしたが、今回は「ティーンエイジャー編」です。
ティーンエイジャーとは13歳から19歳までの子供なので、中学生よりさらに具体的な金融の教育が必要になってきます。
では米国の家庭で行われているティーンエイジャーへの金融教育とはどのようなものなのか、お話していきたいと思います。
ティーンエイジャー編
1、Contentment(満足すること)を教える
この年齢になると、インスタグラムやTik Tokなどのソーシャルメディアに時間を費やすことが多くなります。そしてその画面を通して、友人や見知らぬ人の日々の生活を見ることになります。これはとても簡単に「Comparison Trap(比較の罠)」を引き起こします。つまり誰かと比べて自分が持っていないものが欲しくなったりすることです。
「お父さん、〇〇君は新車を買ってもらっているのに、なんで僕は中古車に乗らないといけないの?」や「〇〇ちゃんはすごく豪華な16歳のバースデイパーティを開いているから、私もやりたい!」なんてことを10代の子供から言われたりします。
「満足」とは心の中から始まります。新車ではなくても安全でしっかり走る車なら問題ない、豪華でなくても思い出に残るバースデイパーティを開くことはできる、ということを親は子供に教えなくてはなりません。欲望のままお金を使っていてはきりがありませんよね。今自分が使えるお金で生活することに満足することを教えることが大切です。
2、銀行口座を開設して、その口座に対してResponsibility(責任)を持たせる
アメリカの教育では子供が小さいころから自分自身の行動に「Responsibility (責任)」を持たせるということが重要だとされています。なので、今まで説明したような金融教育ができている段階になったら、子供の銀行口座を開設してあげてください。お金の管理について学ぶことができます。大人になったときに高額なお金もしっかりと管理する準備ができます。
3、カレッジ費用の貯蓄を始めさせる
アメリカでは高校を卒業するとカレッジと呼ばれる2年生の大学に進み、その後就職したり、University(4年生大学)に進みます。なのでティーンエイジャーになったらカレッジの学費の貯蓄を始めさせるのがおすすめです。夏休みに短期のバイトなどで稼いだお金を預金用の口座に貯蓄させます。これは自分の将来に必要なお金を自分で準備しているということです。カレッジ費用を全額負担するわけではなくても、少しでも自分で働いて貯めたお金で学費を支払うことは、今後カレッジで勉強する際のモチベーションにも繋がります。
4、学生ローンについて明確に理解させる
子供がカレッジに進学する前に、「どうやって学費を支払っていくか」をきちんと子供と向き合って話す必要があります。学生ローンで大学に行くことは、卒業後に何年もローンを返済し続けなければいけないということです。そのことをきちんと子供に理解させる必要があります。働きながら学校に行ったり、奨学金に申請したり、教育を受けるのには学生ローンで進学する以外にも色々な方法があることを教えてあげてください。
5、クレジットカードの危険性を教える
子供が18歳になり高校を卒業すると、クレジットカードの勧誘がたくさんきます。クレジットカードで支払いをするということは、その度に利子の発生する借金をしているということです。生活費や娯楽費など、自分の日々の生活費のためにクレジットカードを使って借金をするべきではありません。Need(必要なもの)とWant(ほしいもの)の区別をつけさせ、クレジットカードを使用しないでも生活できるようなお金の習慣を教えてあげてください。
6、予算の管理を始めさせる
どれだけ収入が少なくても、それを管理する習慣をつけることを始めさせてください。お金を使うプランを考える癖を身に着けさせることが大切です。
簡単にお金を管理できるアプリがたくさんありますので、それらを利用するのもおすすめです。「マネー・フォワード」というアプリはとても簡単にお金の管理ができるので大人にもティーンエイジャーにもおすすめです。
7、複利の魔法について教える
ある程度の年齢になったら投資について教えてあげてください。特に複利という魔法のようなお金の仕組みについて教えてあげることは子供の将来を豊かにする手助けになります。複利というのは、投資した元本から発生した利息を、さらに元本に組み入れ、その増えた元本にまた利息が発生していくという計算方法のことです。つまりこの方法を使って資産運用をする場合、運用期間が長ければ長いほど複利による恩恵をたくさん受けることができるということです。たとえ元本が小さくても、10代から投資を始めれば複利による魔法でお金を増やしていくことができます。日本の家庭でこのような投資の話を10代の子供にしている親はあまりいないかと思いますが、アメリカやヨーロッパでは当たり前のように親が子供に教えている金融教育の一つです。
私は「複利の魔法」を教えるために実際に株式やETFを購入することをおすすめします。私は両親や親戚などから子供へのお小遣いやお年玉をもらった時、その一部を株式やETFの購入に使っています。全部を投資する必要はないと思いますが、半分や7割など、各家庭で決めたら、毎回その額を投資することがおすすめです。
まだ子供が小さいうちは難しいですが、10代を過ぎれば、今まで親戚や祖父母から頂いたお金を何に使っていたのかを話してあげてください。そしてある程度投資について理解できる年齢になれば、自分で購入する株式やETFを選ばせるといいと思います。「コカ・コーラが好きだからコカ・コーラの株を購入する」でもいいと思います。投資している金額に関係なく、株式を購入すればその時点で立派な投資家で、その企業のオーナーの一人です。実際に投資を体験することによって、複利の魔法や資本経済の仕組みまで理解することに役立ちます。
複利について詳しくはお金がお金を生む仕組み「複利の魔法」を参考に
8、お金を稼ぐ方法を教える
10代の子供には自由な時間がたくさんあります。もちろん部活や学業に忙しい子もいますが、夏休みや冬休みなどにまとまった時間が取れることもありますよね。その時に子供たちは遊ぶお金がほしいと必ず言ってくるはずです。その時に彼らがお金を稼ぐための仕事を探すのを手伝ってあげてください。一番良いのは、彼らに起業させることです。難しいと思うかもしれませんが、今の世の中では10代でもお金をかけずに起業する方法はたくさんあります。ただお金をあげる前に、どうやったらお金を稼ぐことができるのかということを教えてあげてください。
家庭で子供にお金の教育をするということはとても大変です。時間も労力もかかります。しかし子供が将来お金にストレスを感じずに生活するためにはとても大切なことです。その時間と労力は惜しまずに使ってください。
子供にお金について早く学ばせる方法はとにかく自分で稼がせるということです。
お手伝いに対して賃金を支払う、休暇を利用してバイトをさせる(学業や部活動への支障が出ない程度に)、起業させる。
これらのことを親が子供にどんどんやらせてみてください。子供は必ず学んでいきます。もちろんはじめはうまく管理できずに失敗してしまうこともありますが、大人になってからお金で失敗するよりずっといいと思いませんか?
子供にきちんと金融教育をしてあげたら、あとは少し離れたところから見守ってあげましょう。そしてもし失敗したら、また手助けをしてあげましょう。
そして私たち自身も金融リテラシーを高めるために、一緒に投資や資産形成について学んでいきましょう。
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