2030年までに児童婚をゼロに!女の子たちをエンパワーメントしよう

今回は大切な「お金の勉強」の一つである「チャリティ」の一貫として、グローバル問題の「児童婚」についてお話したいと思います。
ビル・ゲイツも子供にしている「チャリティー」というお金の教育

―目次ー

・「児童婚」とは?
・ジェンダーバイアスは男性も追い詰める

・日本はジェンダーの劣等生
・女の子たちをエンパワーする
・児童婚はゼロにできる

「児童婚」とは?

児童婚とは?

UNICEF * Latest data as of March 2020

児童婚とは、公式または非公式に未成年者(一般的には18歳未満の子供)が結婚することをいいます。
大概の児童婚では、結婚させられる女の子たちの気持ちは無視され、会ったこともない年上の男性との結婚を強いられます。自分の父親よりも年上の男性と結婚することも珍しくはありません。早い子では10歳前後で結婚させられる子もいます。
そして結婚後は、家族と離れて相手の家に入り、学校を退学させられることがほとんどです。
一日10時間以上の過酷な家事を一人で背負わされ、女の子たちは家族や友達にも会えずに社会から孤立してしまいます。

そして、児童婚は「早すぎる妊娠・出産」にも繋がってしまします
実は世界の思春期の女の子の死因のトップは「早すぎる妊娠・出産」から起こっているんです。
日本では思春期の妊娠や出産でが死因に繋がることは1万数千人に一人ですが、アフガニスタンなどでは52人に1人というとても高いリスクにつながっています。(ユニセフの2017年の調査結果)

身体が成熟する前の早すぎる妊娠・出産は、エイズなどの感染症、夫からの暴力や過重な労働によって死因のリスクを上げています。また、子どもの権利条約第24条の「子どもが健康に生きる権利」も侵害しています。

なぜ児童婚が行われるのか?

児童婚の主な原因には
・貧困
・伝統的慣習

の2つがあります。

1つめの「貧困」は、女の子を早く結婚させることで、養育費や教育費を減らそうという考え方があります。
そしてここには「結納制度」も関係しています。
貧しい家庭では、この「結納金」が家計の大きな支えになるため、このお金を目当てに娘の結婚を決めるということもあります。
また、インドでは「ダウリー」という女性側から男性側に支払う「結婚持参金」の慣習があります。このお金は、女の子の年齢が低いほど支払うお金が少額になるため、貧困層の親が娘を1日も早く結婚させようという動機に繋がっています。

「子どもの結婚をお金に換えるなんて、ひどい母親!」と思うかもしれませんが、その母親たちもまた、児童婚を当たり前のこととして経験してきた人達なんです。
貧困で暮らす彼女たち母親にも、違う方法を選ぶ余地がないのが現状です。

2つ目の「伝統的慣習」には、「女の子が嫁に行かないことは家の恥」という考え方があるからです。
この「伝統的慣習」は女の子たちに対する偏見からきています。
男の子が「家を継ぎ、親の面倒を見てくれる存在」というのに対し、女の子は「いつか結婚して家を出ていく家計を圧迫する存在」という考えがあるからです。

このように「女性」、「子ども」、「貧困」という要素を持った最も弱い立場にいる女の子たちが、児童婚させられてしまうという現状があります。

児童婚に関する事実

※ユニセフより抜粋

UNICEF * Latest data as of March 2020
  1. 世界では、現在生存している推定6億5,000万人の女の子と女性が18歳の誕生日を迎える前に結婚しました。
  2. 世界で子どものうちに結婚する女の子の数は年間1,200万人と推定されます。
  3. 世界の子どもの花嫁のうち、南アジアが占める割合は40%以上(2億8,500万人、世界合計の44%)と最も高く、次に高いのはサハラ以南のアフリカ(1億1,500万人、世界合計の18%)です。
  4. 世界で児童婚の被害を受ける地域は南アジア地域から、サハラ以南のアフリカに移っています
    遅い前進と人口増加によるものです。世界の子どもの花嫁のうちサハラ以南のアフリカが占める割合は、25年前は7人に1人でしたが、最近ではほぼ3人に1人となっています。

ジェンダーバイアスは男性も追い詰める

ジェンダーバイアスは女性や女の子たちだけを苦しめるものではありません。
実は「女の子への偏見」は、以下のような「男の子への偏見」も生み出しています。
・男の子は強くならなければならない
・弱音を吐いていはいけない
・リーダーになるべきだ
・稼ぎ手になって家族を養っていかなければならない

「伝統的な男らしさ」という思い込みは、男の子も追い詰めていることになっています。「女の子への偏見」と「男の子への偏見」はセットになっているんです。

「男性は強く、女性を支配するもの」という男性優位主義(マチスモ)が定着している国では、男の子や若い男性の交通事故、自殺、暴力による死亡がとても高いということがわかっています。

また、危険な児童労働をさせられている子供の数も男の子のほうが多い事実もあります。

「男らしさ」という偏見

女性から「女らしさ」という偏見をなくすと、男性も「男らしさ」から解放されることになります。
すると、男性にとってもとても生きやすい世の中になります。
・パートナーを対等な相手として接することで、充実した家庭生活や人間関係をきずくことができる
・父親として家事や子育てに参加することで、子供たちとの関係を築くことができる
・自分ひとりで重要なことを決定しなければならないというプレッシャーから解放される
・一家の稼ぎ手という重圧から解放される
・問題が発生した時に、一人で解決する必要がなくなる
・パートナーと協力することで、女性だけではなく男性にもより利益が生まれる


子供に積極的に関わる父親は、うつや自殺、暴力に走るケースが減るということも調査からわかっています。
また、両親が家事を分担している姿、2人で意思決定を行い、母親が家庭の中で自由に過ごす姿を見ることが子供の幸福度を上げるということもわかっています。

パートナーと協力することで、女性だけではなく、男性も利益を得て、そしてその子供までも幸福度があがり、充実した毎日を送れるようになるんですね。
女性と上手に人間関係を築ける男性ほど幸せになれるということが言えます。

女性や女の子たちが直面している問題を解決するためには、男性の協力が不可欠であることは間違いありません。
そして「女の子への偏見」をなくすことで、同時に男の子も偏見によって苦しまずに済み、お互いが最大限に能力を出し合える社会になっていけると思います。

「女の子の問題=男の子の問題」
「女の子の幸せ=男の子の幸せ」ということを是非考えてみて下さい。

日本はジェンダーの劣等生

日本のジェンダーの成績は?

日本のジェンダーに対する世界から見た成績はどのようなものなのでしょうか?
世界経済フォーラム(World Economic Forum)が2019年12月、「Global Gender Gap Report 2020」を公表し、その中で、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)を発表しました。

この指数は、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示しています。
男女差が少ない国ほど上位にランク付けされます。
2020年の日本の総合スコアは0.652、順位は153か国中121位(前回は149か国中110位)でした。

Copyright 2016 Gender Equality Bureau Cabinet Office.

先進国で、経済的にも豊かな国で、社会インフラも整っていて、これほど下位ランクにいる国は日本くらいです。

ここまで日本が順位を下げている理由は、政治と経済分野における女性の進出が遅れていることにあるようです。

Copyright 2016 Gender Equality Bureau Cabinet Office.

実は、国会議員に占める女性の比率は、パキスタンやネパールの方が、日本よりずっと高いんです。
児童婚などについて聞いた時に、「アフリカやインドの女の子はかわいそう」という気持ちだけでは、問題の本質を見落としてしまいます。

原因の根本は日本も世界も同じことにあります。
女の子への偏見や思い込みからきているんです。
もちろん日本では学校に行けずに見ず知らずの男性と未成年で結婚させられるということはありませんが、日本にもさまざまな性別に対する偏見があります。

そして先ほども「女性への偏見は男性も追い詰める」と話しましたが、日本でもこの問題が男性にも深刻な状況をもたらしています。

日本では女性よりも男性の自殺者が多く、男性だけをみると、40代、50代の働き盛りの男性の自殺者が多い事がわかっています。
原因は「経済、生活問題」というものが多く、「女性が家事、育児をするもの」と言う偏見の裏にある、「男性が家族を養うもの」という社会規範が男性を追い詰めている現状があります。

このように、日本にもジェンダーに関する問題はたくさんあります。
児童婚を「遠い海の向こうのかわいそうな女の子の話」とは思わずに、自分たちの問題として考えてみてください。

女の子たちをエンパワーする

女の子をエンパワーすることで社会全体が良くなる

女の子たちが困難を乗り越え、自分の人生を歩むためには、「エンパワーメント」が必要です。

エンパワーメントとは、女の子が決定権、判断力、情報収集力、交渉力、自尊感情や自己肯定感など、あらゆる力=「パワー」を身に着けることをいいます。

ユネスコの調査では、読み書きができる母親の子供は、5歳以上生き延びる確率が50%あがるということがわかっています。
途上国では、ちょっとしたけがや感染症で命をおとしてしまうことがあるので、基本的な保健衛生や、感染症状、避妊・出産に関する知識が必要になります。
元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんも「母親が読み書きができるかどうかは、次世代の生存に大きな意味をもつ」と言っています。

そして教育を受けた母親のこどもは、教育を受けていない母親の子供の2倍以上多く、学校に通っているというユニセフの報告もあります。

ガーナの教育者であるJ・クウェギール・アグレイ博士は、「男性への教育とは一個人を教育することだが、女性への教育は一家族を教育するのと同じことだ」と言っています。

女の子たちを支援することは、彼女たちの生活をよくするだけではなく、その家族、周りの男性、地域の人、社会全体を良くすることに繋がることがわかります。

「100万円で結婚」という運命を変えたソニータさん

アフガニスタン出身のソニータ・アリザデさんという女性ラッパーがいます。
早すぎる結婚に抗議した”Brides for Sale”「売られる花嫁」と言う歌を歌っています。
彼女は16歳の時に100万円で結婚させられるという話がありました。

彼女のストーリーはドキュメンタリー映画にもなっています。
映画『ソニータ』

ソニータさんは今、アメリカで勉強しながらラッパーとして活動しています。
彼女のように困難な境遇にいても、自分の夢を叶えるために努力している女の子たちがたくさんいます。彼女たちをエンパワーすることで、さらに他の女の子たちにもその輪が広がります。

児童婚はゼロにできる

世界は少しずついい方向に向かっている

児童婚は現在もある過酷な現実ですが、確実に減少に向かっていっています。
国連が掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)の中にも、2030年までに解決すべき国際社会の優先課題として「児童婚の廃止」が掲げられています。

ユニセフや国際NGOが児童婚廃止に向けて様々な課題に取り組んでいます。
・女の子に対するカウンセリング
・ライフスキル教育
(権利についての学習、問題解決のスキル、対人関係のスキル、妊娠・出産・育児に関する知識を学ぶ講座など)
・保健医療サービスの提供
・職業訓練
・意識啓発活動
(現地のNGOと協力して法律や制度の改善提案や政策提言を行う)

UNICEF * Latest data as of March 2020

児童婚廃止活動の成果

  1. 世界の児童婚の割合は減少しました。世界全体では、18歳未満で結婚した女性の割合はこの10年間で15%減少し、4人に1人(25%)から、約5人に1人(21%)となり、約2,500万の児童婚が防げたことになります
    ・女の子の就学率の向上
    ・政府による積極的な青少年期の女性への投資
    ・児童婚の違法性やその弊害に関する強力な広報活動
    が、この改善につながった理由に含まれます。
  2. 南アジア地域では、子どもの花嫁の割合は10年前の約50%から今の30%へと3分の1以上減少し、その大きな要因はインドにおける児童婚の発生を大幅に縮小できたことです。

しかし、持続可能な開発目標のターゲットでもある、2030年までにこの慣習を終わらせるためには、この10年間の前進の12倍の速度が必要です。

UNICEF * Latest data as of March 2020

女の子たちの支援を始めましょう!

女の子たちを応援することの第一歩は「知ること」です。
世界の女の子たちの現状を知ることで、何が必要なのか、より現実的に考えることができるようになります。
そのためにできる方法は
1、関連書を読む
2、NGOが主催するイベントに参加したり同じような思いの人をSNSで探す


「知ること」ができたら、次は「関わる」ことが第二段階です。
どんな小さなことでも、この問題に関わることで彼女たちを応援することができます。
1、ボランティア活動に参加する
2、広報活動をする
(SNSなどを使って周りの人に問題を知らせることも、立派な広報活動です)
3、寄付をする

女の子たちの支援をしたい人は、以下のサイトから寄付することができます。寄付をしなくても、こちらのサイトでいろいろな支援について学ぶこともできます。
UNICEF ユニセフ
CARE ケア
基礎教育、良質な医療ケアの普及などに取り組んでいて、女性を支援の主要対象にしています。
Girls Nor Brides
95か国、1,000以上の市民社会団体によって構成されている国際パートナーシップで、児童婚の慣習を廃止し、少女たちが制約なく能力をのばせるような取り組みを行っています。
国際プラン・インターナショナル
「子どもの権利条約」を指針に、教育、保健、子供の保護などの8つの分野で活動している団体。世界21か国に活動の支援者がいて、世界51か国の人達がこのプランの活動に参加しています。
ラリグラス・ジャパン
ネパールとインドの少女売買春・人身売買の廃絶を提唱し、HIV感染者/AIDS発症者の支援や、障害をもつ女性や子どもをサポートする国際協力NGO。

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投稿者: CA life

カリフォルニアで暮らしています。 早期リタイアのために米国株式投資で資産形成を始めました。 金融リテラシーを高めるために日々勉強中です。

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