今回はアフリカ市場をターゲットにした米国ETFについてご紹介したいと思います。
他の地域に比べるとアフリカを対象としたETFの種類はまだまだ少ないですが、新興国市場に投資したい投資家にとって、最後の巨大市場であるアフリカは投資先として注目されています。
もちろん新興国は政治や経済がまだ不安定な側面もあるので、あくまでも大部分は米国などの先進国へ投資して、一部をETFを利用したアフリカなどに分散投資することをおすすめします。
ー目次ー
・なぜアフリカ市場への投資なのか
・アフリカ市場の魅力
・アフリカに投資できるおすすめETF4選
なぜアフリカ市場への投資なのか
世界で最も経済が成長しているアフリカ大陸
世界経済フォーラムによると、「2000年以降世界で最も成長している経済の半分はアフリカにある」そうです。
海外に投資を考えている人は、まず世界の状況をしっかりと把握することが大切です。
いまだにアフリカ大陸の全部の国が、植民地時代のような暮らしをしていると勘違いしている人達がたくさんいるそうです。
もちろんアフリカには今も不安定な国はありますし、他の大陸に比べれば成長が遅れています。しかしアフリカ大陸にある国を全部一緒くたにして考えていては、世界の状況を正しく理解できなくなってしまいます。
同じアフリカ大陸の中でも、国によってものすごく大きな違いがあるからです。
以下の表は、IMF統計に基づく2019年の実質ベースGDP(国際総生産)の前年比伸び率を表した表で、上位20位のうちの半分の10か国がアフリカ大陸の国になっています。

アフリカのさまざまな国で経済が発展していることがわかります。
アフリカ諸国が今のアジア諸国になる
ベトナムやマレーシア、インドネシアなどのアジア諸国は、この数十年でめざましい経済発展を成し遂げてきました。これらの国は、経済成長以前の数十年間に社会的にも着実に進歩していたことがわかっています。
そしてアフリカの一部の国でも今同じことが起きています。この数十年間でアフリカの教育と子供の生存率は劇的に改善しているそうです。
サハラ以南の50か国は、特に速いペースで乳幼児の死亡率を改善できています。
アフリカの中で、経済発展が進んでいない国は、極度の貧困や紛争が続く一部の国です。
中国やベトナムやバングラデシュなども、ひどい飢餓が紛争があった時代は経済発展などありえないと思われていました。
でも実際にはすでにそのような状況を抜け出して、アメリカやヨーロッパ、日本の企業が進出して、経済は急速に発展しました。
ほんの50年ほど前まで、中国、インド、韓国などの国も、今のサハラ以南の国より経済は遅れていました。
でも今はこれらの国には世界で活躍する大企業がいくつもあります。
アフリカは教育、電力、水道、衛生設備などの面で着実に発展してきています。
アフリカも今後数十年でかつてのアジア諸国のような発展を遂げていくと考える方が、自然なことのような気がします。
アフリカ人の考えるビジョン
世界的ベストセラーになっている「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」の中に、著者であるハンス・ロスリング氏のとても興味深いエピソードがありました。
2013年に「アフリカの再生と2063年の目標」という会議で、アフリカ中から集まった500人の女性リーダーの前で講演を行ったそうです。
アフリカの研究をまとめて、今後20年もかからないうちにアフリカから極度の貧困がなくなるであろうという予測を話したそうです。
そして講演の締めくくりに、「自分の孫が将来アフリカに観光に来て、新幹線に乗る日が来ることを夢見てる。」と話したそうです。
そして講演後にアフリカ連合委員会のノーサザーナ・ドラミ二・ズマ委員長からこういわれたそうです。
「とても面白い講演だったけど、ビジョンがないわね。」と。
「今後20年でアフリカから極度の貧困がなくなる」と言ったのに、「ビジョンがない」と言われたことに驚いて、なぜか聞き返すとこう言われたそうです。
「極度の貧困がなくなると先生は言いましたけど、極度の貧困がなくなることでアフリカ人が満足するわけではないですよ。
私の夢は、私の孫がヨーロッパに観光に行ってヨーロッパにある新幹線に乗ることですよ。だいぶ先のことになりますし、賢い判断と大きな投資が必要になりますが、きっとそうなります。50年もすればアフリカ人たちは観光客としてヨーロッパに歓迎される存在になります。難民として嫌がられるんではなくて。」
と言われたそうです。
アフリカのリーダーたちと他の大陸の人たちが、アフリカに対して持っている価値観がずれていることがよくわかるエピソードだなと思いました。
アフリカのリーダーたちは彼女のようなビジョンを持っていて、すでにアフリカの地元企業は経済発展のために大陸中に事業を広げようと取り組んでいます。
アフリカ市場の魅力
広大な天然資源
アフリカ大陸には天然資源が豊富にあります。膨大な量の天然ガスと石油が未開発のまま埋蔵されています。その量は世界全体の10%にあたります。
他には金、プラチナ、ウラン、鉄鉱石、銅、ダイヤモンドなどがあります。
現在は耕作が可能な土地のうちの10%しか耕作されていませんが、アフリカ大陸は世界の耕作可能な土地の半分以上の約60%を占めています。
このため現在アフリカは、海外直接投資(FDI:Forign Direct Investment)の主要地になっています。
労働力
アフリカには比較的賃金の安くて、きちんと教育を受けた労働力があります。
アフリカ大陸の人口は、20代、30代の若者の割合が非常に高くなっています。
これから活躍できる世代の人たちの人口が大きいのは、今後数十年の経済の発展に繋がります。
ガバナンス
依然として不安定な国もありますが、貿易やビジネス環境が改善されている国が多数あります。
世界フォーラムによると、2030年までにアフリカ人の40%以上が中流階級または上流階級に属し、商品やサービスに対する需要が高まると言われています。
2030年には家計消費は2.5兆ドルに達すると予想されていて、2015年の1.1兆ドルの2倍以上になります。
アフリカの経済がものすごいスピードで成長していることがわかります。
その2.5兆ドルの大部分は、
・ナイジェリア 20%
・エジプト 17%
・南アフリカ 11%
の3か国で費やされる予想です。
他にも、アルジェリア、アンゴラ、エチオピア、ガーナ、ケニア、モロッコ、スーダン、チュニジアなどが経済の発展で注目されています。
今後30年間で最も成長が見込まれるセクターは
・食品、飲料
・教育
・輸送
・住宅
・消費財
・ホスピタリティ
・ヘルスケア
・金融サービス
・電気通信
などがあげられています。
アフリカ投資におすすめのETF4選
アフリカの地域に投資できるETFはまだ限られたものしかありません。
その中で今回は、
・アフリカの複数の国に投資できるETF
・南アフリカに投資できるETF
・エジプトに投資できるETF
・ナイジェリアに投資できるETF
の4つのETFをご紹介したいと思います。
バネック・ベクターズ・アフリカ・インデックスETF(AFK)
バネック・ベクターズ・アフリカ・インデックスETF(AFK) | |
設定日:2008年7月14日 | |
ベンチマーク:MVIS GDPアフリカ・インデックス | |
経費率:0.79% | |
配当利回り:6.95% | |
トータルリターン:-3.10%(1年)/ -3.84%(3年)/ 1.46%(5年) |
現在約75銘柄の株式を保有。

こちらは国別の構成割合です。経済的に発展している国を中心に、アフリカの企業に分散投資することができます。
詳しい構成銘柄についてはこちらを参照してください:ブルームバーグ
iシェアーズMSCI南アフリカETF(EZA)
iシェアーズMSCI南アフリカETF(EZA) | |
設定日:2003年2月7日 | |
ベンチマーク:MSCI南アフリカ25/50インデックス | |
経費率:0.59% | |
配当利回り:3.49% | |
トータルリターン:-9.86%(1年)/ -5.78%(3年)/ -1.56%(5年) |
主に南アフリカの大型・中型株を保有しています。
ヨハネスブルグ証券取引所の上場銘柄を中心に構成されていて、時価総額加重平均を用いて保有銘柄のウエートを算定しています。
詳しい構成銘柄についてはこちらを参照してください:ブルームバーグ
ヴァンエック・ベクトル・エジプト・インデックスETF(EGPT)
ヴァンエック・ベクトル・エジプト・インデックスETF(EGPT) | |
設定日:2010年2月18日 | |
ベンチマーク:MVISエジプト・インデックス | |
経費率:0.94% | |
配当利回り:2.48% | |
トータルリターン:-20.19%(1年)/ -6.37%(3年)/ -7.93%(5年) |
アフリカで3番目に大きな経済であるエジプトへの割合が85%、残りはルクセンブルク、カナダ、アイルランドに分散されています。
詳しい構成銘柄についてはこちらを参照してください:ブルームバーグ
グローバルX MSCIナイジェリアETF(NGE)
グローバルX MSCIナイジェリアETF(NGE) | |
設定日:2013年4月3日 | |
ベンチマーク:MSCI全ナイジェリア・セレクト・インデックス | |
経費率:0.89% | |
配当利回り:0.74% | |
トータルリターン:-9.16%(1年)/ -14.98%(3年)/ -15.09%(5年) |
ナイジェリア国内の株式に集中しており、金融、消費者の主食、エネルギー、材料、産業をトップセクターに投資しています。
詳しい構成銘柄についてはこちらを参照してください:ブルームバーグ
以上がお勧めのETF4選です。
トータルリターンなどを見ると、やはりどれも米国のインデックスETFよりはるかに安定していないことがわかります。
しかし、長期的には成長が期待できる投資先だと思いますので、長期投資を考えている人には魅力的なETFになると思います。
アフリカ市場への投資についてのまとめ
・政治的、社会的不安、インフラの欠如、貧困などの不安定な要素はまだある
・全体像を見ればアフリカの経済は確実に成長している
・政治的安定、経済成長、銀行システムなどが向上している
・成長する中流階級からの需要が高まっている
・短期でのリターンは期待できないので、長期投資に向いている
やはり長期投資の中心は米国をはじめとした先進国にするべきだと思いますが、アフリカなど、新興国株もポートフォリオの一部に入れておくのも分散投資になるのでおすすめです。
分散投資におすすめの米国除外ETFと新興国ETF
みなさんも是非アフリカ市場への投資を検討してみてください。
ブログランキングに参加しているので、ポチっとお願いします。
にほんブログ村
「最後の巨大市場「アフリカ」への投資」に8件のコメントがあります