ごみの中にお宝が隠れている?ゴミ箱に投資してみよう

今回は廃棄物処理などの環境に関わるサービスを行う米国企業、ETFをご紹介したいと思います。

今「ゴミ箱に投資する」、つまり廃棄物処理事業への投資を検討している投資家が増えてきているそうです。

これはESG投資といって、持続可能な地球環境を目指すサスティナブル投資として注目されていることにも関係しています。

古いことわざで、”the only things in life that are certain are death and taxes” というものがあります。
これは人生で確かなことは「死ぬこと」と「税金の支払い」だけだという意味です。
そして今「ごみの処理」がその3つ目に来るものだと言われています。
「死ぬこと」と「税金の支払い」と同じくらい、必ず人生についてくるものが、「ごみの処理」です。

ー目次ー

・廃棄物処理業界への投資
・米国最大の廃棄物処理企業WA
・廃棄物処理事業に投資できるETF

廃棄物処理企業への投資

廃棄物処理企業の株は年々成長しています。
リサイクル商品の価格が10年ぶりに安値を更新したにもかかわらず、ごみ処理事業の経済成長はピークには達していないといわれています。
理由は単純で、人口が増えると、ごみの量も増えるからです。

投資家のほとんどは、大規模なハイテク企業や電気自動車のスタートアップ企業に夢中になっていますが、市場を超えるようなリターンは思いがけない分野から得られることもあります。

米国の大手廃棄物処理企業であるウェスト・マネジメント (NYSE:WM)、リパブリック・サービス(NYSE:RSG)、およびウェスト・コネクションズ (NYSE:WCN)の3社には多くの共通点があります。
それぞれが過去10年間、配当金を含めたトータルリターンベースでS&P 500指数をアウトパフォームしています。

ウェスト・マネジメント (NYSE:WM)が500億ドルと最大の廃棄物処理企業であるのに対し、リパブリック・サービス (NYSE:RSG)、ウェスト・コネクションズ(NYSE:WCN)はそれぞれ310億ドル、270億ドルと、この2社も小規模とは言えない規模の企業になってきています。

廃棄物処理企業の現状

2020年6月30日に終了する直近の四半期では、ウェスト・マネジメントの前年比収入は10%減少しました。ウェスト・コネクションズとリパブリック・サービスは、同期間の収益がそれぞれ4.7%と5.8%減少しました。

廃棄物業者は、自社サービスの需要を実質的にコントロールすることはできません。
より多くのゴミを作るためにマーケティングを行うことはできないからです。
廃棄物処理企業が利益を増加させるには
・ゴミの量を増やす
・価格を上げる
・ビジネスを効率化してマージンを拡大する

などに限られます。

現在のような景気後退時は顧客の予算が最も逼迫している時なので、価格を上げることは難しくなります。
ウェスト・マネジメントとウェイスト・コネクションズのCEOは、それぞれ値上げを一時停止することを発表しています。

しかし収益と利益がわずかに減少したものの、コストを削減し、マージンを増加させることができているため、今後景気が改善し収益が通常に戻るにつれて、削減できた分のコストで今後数年間でさらに優れた業績が期待できます。

廃棄物ビジネスは常に需要があるため、デメリットは限られているという強みがあります。

米国最大の廃棄物処理企業WA

ウェスト・マネジメント(WM)

ウェイスト・マネジメント(WM)は米国の廃棄物処理業界の最大手です。
事業規模と範囲の大きさから、ウェスト・マネジメントはごみ収集・運搬・廃棄といった一連の流れ全体をカバーすることが可能な企業です。

また、ウェスト・マネジメントは、人口増加に伴うごみやリサイクルの増加という非常に強い追い風を受けているので、今後も事業が伸びていくことが予想されます。

環境・社会・企業統治を重視した経営を行う企業への投資(ESG投資)の増加も追い風を受けている理由の一つで、ウェスト・マネジメントは将来の経済における需要や役割に合わせて成長できる事業形態を持っていることも強みです。
廃棄物処理産業に特有の危険な状態や安全性への懸念を考慮している
・運搬車両からの排出ガスを減らし、ごみ処理地がサービス地域にもたらす影響に対処する

ウェスト・マネジメントが景気後退にも強い理由

1,常に一定の需要があるため株価の下落リスクが低い
過去の景気後退時でも一貫して良好なパフォーマンスをあげていました。
株式市場全体のリターンがマイナスとなった2000年、2001年、2008年、2018年でも、ウェイスト・マネジメントはプラスのトータル・リターンを出しています。
景気が低迷すればどのセクターも影響を受けますが、ウェスト・マネジメントのサービスには常に一定の需要があることから、株価が下落のリスクは限定的です。
2020年以降はコロナで事業が低迷する中、上期の売上高は前年同期比で5%弱の減少にとどまっています。

2、幅広い業界にわたる多様な顧客基盤を持っている
ウェスト・マネジメントは2020年の総売上高を2019年から4~5%の減少、営業EBITDA(支払い利息・税金・償却控除前利益)に基づく営業利益率を昨年とほぼ同水準と見込んでいます。

業績低下が最小限である背景には、幅広い業界にわたる多様な顧客基盤が挙げられ、一部の事業分野ではパンデミックの影響は限定的です。
廃棄物処理事業は、商業向け、住宅向け、産業向け等のごみ回収や埋め立て地管理、中間処理施設運営、リサイクル、その他といった分野にわたりますが、各部門の2020年上期の売上高はいずれも全体の23%以下にとどまっています。

さらに、いずれの部門の売上高も前年からの減少率は8%以内です。ウェスト・マネジメントは、困難な環境下でも上手く事業運営を行う能力があることがわかります。

ウェスト・マネジメントは配当も増やしており、2020年の四半期配当は2019年比で6%超増加しました。
2004年以降で配当は3倍に増え、過去5年間の年平均成長率は約6%となっています。配当利回りは1.83%です。(2020年12月4日現在)

廃棄物処理事業に投資できるETF

VanEck Vectors Environmental Services ETF(EVX)

VanEck Vectors® Environmental Services ETF (EVX®)は、廃棄物の収集、運搬、処分、リサイクル、土壌浄化、廃水管理、環境コンサルティングサービスに携わる企業の総合的なパフォーマンスを追跡することを目的としたNYSE Arca Environmental Services Index (AXENV)のパフォーマンスを目指しています。

指標の対象となる企業

・消費者の廃棄物処理、産業副産物の除去・保管、および関連資源の管理の需要が世界的に増加していることから恩恵を受ける可能性のある事業活動を行っていること。
・時価総額が1億ドルを超える企業
・3ヶ月間の取引価格が1株当たり3ドル以上
・過去3ヶ月間の1日平均取引高が100万ドル以上の場合

◆VanEck Vectors Environmental Services ETF(EVX)の概要
VanEck Vectors Environmental Services ETF(EVX)
設定日:2006年10月16日
ベンチマーク:NYSE Arca Environmental Services Index
保有銘柄:22銘柄
経費率:0.55%
配当利回り:0.41%
トータルリターン:年初来 9.08%、1年 9.83%、3年 10.59%、5年 14.44%
2020年12月4日現在

以下の銘柄が上位10銘柄です。

©2020 Bloomberg L.P. All Rights Reserved
©2020 Bloomberg L.P. All Rights Reserved

過去5年間の株価チャート推移です。
オレンジ色がEVXで水色がS&P500に連動するVOOです。
EVXがS&P500よりもアウトパフォームしていることがわかります。

ごみ箱に投資してみよう!

廃棄物処理企業は、多様なポートフォリオの中で安定した役割を果たすことができます。
廃棄物処理企業の銘柄はいずれもパンデミック前の高値には戻っていないため、今が投資家にとっては良い買い時かもしれません。
是非自分のポートフォリオに組み入れることを検討してみてください。

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投稿者: CA life

カリフォルニアで暮らしています。 早期リタイアのために米国株式投資で資産形成を始めました。 金融リテラシーを高めるために日々勉強中です。